2016 Fiscal Year Research-status Report
ポスト冷戦期アメリカ文学におけるディザスターとサバイバル
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26370350
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Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 真理子 西九州大学, 健康福祉学部, 准教授 (70389394)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 現代アメリカ小説 / ポスト冷戦期 / 戦争文学 |
Outline of Annual Research Achievements |
アメリカ文学サバイバル研究会を課題進捗状況確認および発表の場として、助成金による合計9回の例会を開催した。当該年度は「戦争とサバイバル」を中心とした資料読解および調査研究を行った。上記研究会での口頭発表で取り上げた具体的な作品は_Going After Cacciato_や_The Things They Carried_などアメリカ作家Tim O’Brienの小説群が中心ではあるが、個別の作家研究や小説というジャンルにとどまらない日米比較からみる「戦後」文化表象についても研究を進めた。一例としてはカリフォルニア州のサンフランシスコ近代美術館における企画展”Japanese Photography from Postwar to Now”(2016年10月15日~2017年3月12日)見学や、同州シミバレーにあるRonald Reagan Presidential Libraryでの冷戦末期の各種資料を目的としたアーカイブ調査のための出張である。小説に描かれる第二次世界大戦およびポスト・ヴェトナム期という時代の文化的諸相を知ることは、冷戦期からポスト冷戦期へのパラダイムシフトを考える上で欠かせない作業であった。 また、「戦争とサバイバル」というテーマを幅広い視野から再定義するために、2016年12月には福岡大学において、九州アメリカ文学会との共催で公開ワークショップ「ポスト冷戦期文学における戦争とサバイバル」を開催した。関西および関東から専門家をお招きし、ユダヤ系文学やモダニズムの視点から捉え直した現代におけるサバイバル観について考えることができた有意義な企画であった。その他、Stephen CraneとWilliam Faulknerが小説の中に描いた南北戦争を辿り、作品が20世紀初頭から現代にかけてどのように読者や批評家たちに受容されてきたのかについても調査を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当該年度は公開ワークショップ開催準備のための資料読解に集中した結果、論文執筆が予定より遅れることとなった。ただし、次年度にこれまでの調査の集大成として学会口頭発表・出版等を計画していることを考えると、準備段階としては実りの多い年度であった。
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Strategy for Future Research Activity |
「戦後」文学の文脈からアメリカにおけるポスト・ヴェトナム小説について学会等で研究発表を行うとともに、一連の成果を著書として発表する計画である。日米文化におけるディザスターとサバイバル表象に関しても引き続き調査を重ね、学会以外の市民公開講座等の場でも成果を発表していきたい。
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Causes of Carryover |
課題遂行のためのスケジュールに遅れが発生し、期間を延長したため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
論文執筆のために必要な資料の購入や校正費用等に使用する計画である。
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Research Products
(6 results)