2017 Fiscal Year Annual Research Report
Disaster and Survival in American Literature After the Cold War
Project/Area Number |
26370350
|
Research Institution | Nishikyushu University |
Principal Investigator |
渡邉 真理子 西九州大学, 健康福祉学部, 准教授 (70389394)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 災害文学 / ディザスター / ヴェトナム戦争 |
Outline of Annual Research Achievements |
ポスト冷戦期アメリカ文学におけるディザスターとサバイバルという研究課題において、当該年度では主にポスト冷戦期ヴェトナム戦争小説の作家としてのティム・オブライエンの作品群について、合計五回開催したアメリカ文学サバイバル研究会月例会で精読と考察を行った。なかでも、作品群全体を「帰還兵にとってのホーム」の位置という角度から検討した日本英文学会第70回九州支部大会における招待発表「ホームへの帰還――Tim O'Brienのヴェトナム」は口頭発表としては大きな成果である。この発表原稿は、当初の研究計画からやや遅れているが平成30年度には完成予定であるティム・オブライエン論についての著書の一部をなすものであり、この意味でも大変有意義であった。 冷戦期文学とポスト9.11文学の検証については、共著『21世紀から見るアメリカ文学史――アメリカニズムの変容』(英宝社)における項目執筆(「サイエンスフィクション」)において、文学史の観点から冷戦期~ポスト冷戦期までのSF文学の変遷を五人の主要作家(フィリップ・K・ディック、アーシュラ・K・ル=グウィン、カート・ヴォネガット、ウィリアム・ギブスン、キム・スタンリー・ロビンソン)の作品を論じることで明らかにすることができた。『アメリカ文化事典』(丸善出版)で担当した項目「ロードナラティブ」では、ジャック・ケルアック作『路上』やコーマック・マッカシー作『ザ・ロード』の文学史上の位置づけとして、冷戦期からポスト冷戦期に至る過程での<ロード>モチーフの変遷を論じた。また、ポスト9.11文学の<サバイバル>の諸層を考察してきた成果の一部として、学会誌に掲載した書評(上岡伸雄著『テロと文学――9.11後のアメリカと世界』)も挙げられる。
|
Research Products
(9 results)