2016 Fiscal Year Annual Research Report
Studies on the letters conserved by Paul VALERY from cultural and historical viewpoints
Project/Area Number |
26370351
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
今井 勉 東北大学, 文学研究科, 教授 (40292180)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | フランス文学 / ヴァレリー / 生成論 / 書簡 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度となる平成28年度は、東北大学にて開催の平成28年度日本フランス語フランス文学会秋季大会の特別講演者として、パリ第四大学教授ミシェル・ジャルティ氏を本研究の一環として招聘し、「ポール・ヴァレリーとその時代」と題する興味深い講演を行っていただくことができた。滞日中は東京大学と京都大学でジャルティ氏の編集による新版ヴァレリー作品集をめぐってお話いただいた。ヴァレリー研究の第一人者による連続講演会の開催により、ヴァレリー研究の最新の知識を提供できた点は喜ばしい限りである。また、授業休業期を利用し、フランス国立図書館に十日間ほど通うことができ、これまでの受信書簡調査で不足していた部分、とりわけアンドレ・ブルトンからの受信書簡の未調査部分を補い、ヴァレリーとブルトンとの往復書簡の初期のありようをつぶさに追跡することができた点は本研究の大きな成果であったと言える。 三年間にわたって実施された本研究「ポール・ヴァレリー書簡の文化史的研究」は、フランス国立図書館所蔵の『総合書簡』全42巻およそ5000通の受信書簡を概観するというスケールの大きな企図であったが、限られた滞在期間のなかで、まずピエール・ルイスとの往復書簡について、特に1916年ころの詩学(あるいは作詩法)をめぐる熱心な意見交換のさまを追跡できたこと、次に上述したアンドレ・ブルトンとの初期の文学論的交流を詳しく検討できたこと、この二点が特殊個別的なレベルでの具体的な成果であったと言える。資料の一層の分析とその文化史的な位置づけについては今後、さらに考察を深めながら、適切な機会に口頭発表を行い、論文や書籍のかたちで文章化することができればと考えている。
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