2016 Fiscal Year Annual Research Report
An Elucidation of the Progress of Love Elegy based upon the Comparative Study on Tibullus and Propertius
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26370352
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
日向 太郎 (園田太郎) 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (40572904)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ティブッルス / プロペルティウス |
Outline of Annual Research Achievements |
古代共和制末期に活躍した二人の恋愛詩人、プロペルティウスPropertiusとティブッルス Tibullusについて、前年度に引き続き作品の精読に努めた。両者を比較し、その類似性および相違点を分析した。2016年度は、まずservitium amorisの主題について研究を行った。ティブッルス第1巻第9歌21-22で言及されている奴隷的拷問は、従来考えられてきたように奴隷的な拷問を自身に加えることを愛する少年(マラトゥス)に命じているのではなく、むしろまさしくマラトゥスの奴隷に加えるべき拷問に言及していると考えるべきであり、『フィロロギカ』第11号において、この解釈に基づく本文の改訂を提案した。 また、2016年3月にイタリアピサ大学で行った講演に基づいて、プロペルティウス第4巻第7歌についての論考を、日本西洋古典学会欧文誌JASCA第3号に寄稿した。これは、本文中の読みにかかわる提案(4.7.79の写本伝承pelleは真正な読みであり、維持するのが妥当という判断)を行い、第4巻第7歌の主旨をプロペルティウス作品全体との関連から位置づけ、その提案を根拠づける試みである。 この他、8世紀のランゴバルド王国およびフランク王国の宮廷と深いかかわりを持ち、カロリング・ルネサンスに多大なる貢献を示したパウルス・ディアコヌスの代表作『ランゴバルドの歴史』の翻訳・解題を刊行した。これは、6世紀後半から8世紀後半まで広範囲にわたってイタリア半島を支配したゲルマン民族、ランゴバルドの起源から王国崩壊直前に至るまでの歴史的歩みを扱っている。邦訳刊行は本邦初めてであり、今後のヨーロッパ中世史、古典受容史などの分野に少なからぬ意義を持つと思われる。
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Research Products
(3 results)