2014 Fiscal Year Research-status Report
16世紀から21世紀までのフランスにおける視覚詩の総合的な研究
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26370353
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
月村 辰雄 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50143342)
中地 義和 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (50188942)
野崎 歓 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (60218310)
塚本 昌則 東京大学, 人文社会系研究科, 教授 (90242081)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 視覚詩 / ビジュアールポエトリー / ピエール・アルベール=ビロ― / ピエール・ガルニエ |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度、平成23-25年度の基盤研究Cの成果を踏まえたうえで、詩が持つ視覚性を考察した。平成23-25年度の基盤研究Cの成果の一部として『詩と絵―マラルメ以降のテキストとイメージ』という題にした論文集(シモン=及川編、平成27年5月出版予定、水声社刊)の出版に向けて論文を集め、編集の作業をした。この図書の中では幾つかの論文が詩の視覚性を扱い、平成26-28年度の本研究のテーマへと繋がっている。 ・ピエール・アルベール=ビローの研究を展開し、彼が書いた俳句、特にその視覚性について論文を発表した。また、平成26年8月にフランス・ノルマンディー IMECにてキャロル・オルエ氏(パリ東マルヌ・ラ・ヴァレ大学)と共同で資料調査を行った。平成25年7月に東京大学に招待したにエレーヌ・カンペニョル=カテル氏(パリ第3大学)がコーディネートする解説付き詩の本のデータベース制作計画に参加し、ピエール・アルベール=ビローの作品の紹介を担当した。 ・ピエール・ガルニエの研究も進み、平成26年9月アミアンで開かれた展覧会での日本部を担当し、平成26年3月14日にパリでピエール・ガルニエと日本について発表した。『ピエール・ガルニエと日本』(L'Herbe qui tremble社、平成28年秋出版予定)の編集を進めた。 ・国際交流という側面では、テキストとイメージに深い関係を持つフランス人の詩人ジャック・ルボー氏を東京大学に招き講演会を主催した。50人以上参加し、大変素晴らしい詩との出会いだった。また、フランス人の研究者(キャロル・オルエ氏、エレーヌ・カンペニョル=カテル氏など)と交流し、今後の研究の推進方策と出版を検討した。さらに、平成26年8月にスロベニア・リュブリャナ大学にて研究交流し、並びに欧州日本研究所(EAJS)の第15回大会に参加した(視覚芸術、文学区分)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
視覚詩の多様性と豊穣さを見るために、本研究は四つの点を考察することが必要である:①16世紀から21世紀までのフランスの視覚詩の歴史②視覚詩の独自の視覚性③視覚詩において作者と読者の独自の関係④世界の視覚詩の中でフランスの視覚詩の位置。平成26年度は、特にピエール・アルベール=ビローとピエール・ガルニエの作品を中心に②、③、④について研究し、国際交流、出版計画などを行った。 ・ピエール・アルベール=ビローに関する企画が最初に考えていたことより早く進み、平成26年2月―3月の出張の際にIMECでの国際シンポジウムの話が決まって、滞在中そのプログラムを完成した。また、平成28年出版予定の『Europe』の特集の目次も完成し、Rue du Monde社出版予定の原稿も完成した。 ・ピエール・ガルニエ研究も進み、出版の話も決まった。特に、平成26年2月―3月の出張の際に私は『Europe』の特集(ピエール=ガルニエと国際ビジュアル・ポエトリー)を編集することになり、今その準備に務めている。 ・平成27年度に主催する予定のシンポジウムは東京大学だけで行う予定であったが、フランスの三つの大学の協力を得て、平成28年にフランスと日本、両国で開かれる二つのシンポジウムの一部になり、考えていたよりも大きなスケールでテキストとイメージという広い分野の中で視覚詩の独自の世界を紹介することになる。 最初の計画書の中で述べた企画の他に、平成26年度に新しいプロジェクトが決まり、詩がもつ視覚性を紹介する場が増え、研究の内容も深まったと感じる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の成果を踏まえて、新たな論点の可能性を研究会で議論しながら、国際研究集会の準備を進め、その内容を研究の進み具合から判断する。特に、以下の具体的な点を挙げたい。・ピエール・アルベール=ビローの研究に関しては、キャロル・オルエ氏と共同で平成27年6月にIMECでピエール・アルベール・ビローの国際シンポジウム、『Europe』の特集(平成28年の秋出版予定)の編集、Rue du Monde社出版予定の書籍(『ピエール・アルベール・ビローのGouttes de poesie』、仮題)の出版の三つの大きな計画をと組んでいく。その準備として、平成27年8月にもう一度IMECで資料調査を行い、アルベール・ビローのGouttes de poesieの著者権を持つ出版社(Rougerie社)の責任者を南仏の小さな町Mortemartに訪問する予定である。 ・エレーヌ・カンペニョル=カテル氏がコーディネートする解説付き詩の本のデータベース制作計画に参加する。 ・ピエール=ガルニエと国際ビジュアル・ポエトリーの特集(『Europe』、平成29年出版予定)の準備を行う。また、平成28年10月にTours大学で開かれるガルニエシンポジウムに招待され、発表をするとともに、一つのセッションの司会を務める予定である。 ・平成20-22年の基盤研究Cの際に東京大学に招待したアンヌ=マリー・クリスタン教授が平成26年7月に亡くなったので、平成27年-28年パリ第7大学、パリ第3大学、EHESSと東京大学が協力し記念シンポジウムを開く予定である(パリでは平成27年12月10-11日、東京で平成28年4月か5月)。私はパリと東京の両方のシンポジウムに参加する予定である。スケジュール全体が予定より半年ぐらい伸びるわけであるが、このずれはフランスの協力者の都合によることで、全体の計画に大きな影響はない。
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Causes of Carryover |
平成26年度は、一人のゲスト(ジャック・ルボー氏)を招いただけで、旅費・滞在費などに若干の余裕が生じた。国際的な共同研究のため、平成27年度は研究者を一人招き、私自身は3回(平成27年7-8月、12月、平成28年2月)フランスに出張する予定である(今年は2回だった)。平成27年度の旅費がかさむので、平成26年度の余った金額を平成27年度に繰り越すことにした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成27年度は、私が3回(平成27年7-8月、12月、平成28年2月)フランスに出張し、旅費と滞在費を使用する。国際交流の面では、少なくとも一人の研究者を招待し、文献調査と新資料の発掘にも使用する予定である。
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Research Products
(33 results)