2015 Fiscal Year Research-status Report
現代フランスにおける〈プロジェクト〉的作品に関する研究
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26370354
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
塩塚 秀一郎 京都大学, 人間・環境学研究科(研究院), 准教授 (70333581)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | プロジェクト / ルポルタージュ / 暴力 / 破局 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は、「プロジェクトに依拠して日常のあり方を探る」作品群の考察を通じて、日常の可視化にプロジェクトが果たす役割を明らかにするとともに、そのような仕方で可視化された日常の姿とともに、これらの企てがもちうる社会批判の射程を測ることである。今年度は、フランソワ・マスペロ、フランソワ・ボン、フィリップ・ヴァセ、フリオ・コルタサル、ジャン・ロランなどの現代作家によるルポルタージュを考察の対象とした。これらの作家たちは、ジョルジュ・ペレックによる〈並以下のもの〉への着目に触発され、自らの生に制約を課すという独特のやり方で、現代都市の日常を記録する書物を残している。その結果、彼らのルポルタージュにおいて、しばしば戦争・紛争・破壊が喚起されていることを見出した。こうした暴力への言及は、効率最優先の社会風潮を告発し、現代社会の日常風景を襲う各種の破壊に抗う目的でなされているとともに、破局への予感に促されたものであるとの結論を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
申請段階で対象に想定していた作品について順調に調査が進んでいる。平成27年度はフリオ・コルタサルやジャン・ロランらの文学者によるルポルタージュについて論をまとめるとともに、現代アート作家によるプロジェクト・ワークについても調査を進めた。また、こうした作家やアーティストの発想の原点として、また、プロジェクトの実行とその作品への昇華というテーマの考察の一環として、ジョルジュ・ペレックによる《場所》のプロジェクトと、それの『人生 使用法』への影響について考察し、一定の結論を得た。この結果については、今年度中に刊行予定の単著において公表する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度は、ジョルジュ・ペレックによる日常観察のあり様を、『さまざまな空間』という著作に基づいて考察するとともに、ペレックによるプロジェクト・ワークの影響についても、これまでの研究を総合するかたちで論をまとめ、来るべき著作で公表するつもりである。
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Research Products
(6 results)