2016 Fiscal Year Annual Research Report
The french modern thought and the problem of eroticism - fields of vision opened by Georges Bataille
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26370370
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Research Institution | Hosei University |
Principal Investigator |
酒井 健 法政大学, 文学部, 教授 (70205706)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | バタイユ / エロティシズム / 夜 / 神話 / イメージ / ブランショ / ジャン=リュック・ナンシー / モーリス・ブランショ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は第一に20世紀フランスの思想家ジョルジュ・バタイユのエロティシズム論を、彼の学際的な姿勢に沿って、総合的に解明していくことをめざした。第二に後のフランス現代思想の担い手による継承と発展、つまりポスト・バタイユ世代のエロティシズム論の新展開を明示することに向かった。第三の目的としては、今日的な視野に立って、軽薄に捉えられがちな性の問題がどれほど深く現代人のテーマたりうるか、バタイユおよびポスト・バタイユ世代の考察から、新たな人間論の礎の構築をめざした。 最終年度にあたる2016年度は、第三の目的の達成に向かった。具体的にはポスト・バタイユ世代の思想家としてモーリス・ブランショ、ジャン=フランソワ・リオタール、パスカル・キニャール、ジャン=リュック・ナンシー等の思索に問いかけながら、性の問題を神秘的な「夜」の思想、イメージ論、神話論、インファンティア(幼年)問題、そして日本の文化論まで広げて、現代社会に訴える人間論の構築を行った。パリ・ナンテール大学で行った学会発表(2016年1月)を論文として作成し、これは査読を経て、目下2017年12月の発行予定の冊子(フランスの研究機関発行)に向けて印刷中である。また幼年問題に関しては法政哲学会で発表(2016年5月)を行い、これも2017年6月刊行予定の冊子に向けて印刷中である。その他の考察の一部は日本語による拙著『夜の哲学 - バタイユから生の深淵へ』(2016年10月刊行)にまとめて世に問うた。2016年7月に表象文化論学会で行った神話論に関する発表の一部は法政大学言語文化センター紀要『言語と文化』14号(2017年1月)に掲載した。 総じて2016年度は多角的な研究を続行しつつ、これをまとめる作業に向かい、論文、著作、発表の形式で成果を世に問うことができた。その意味で3年間の研究を締めくくる有意義な年度だったといえる。
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[Presentation] 神話表現論の系譜2016
Author(s)
酒井健
Organizer
第11回表象文化論学会
Place of Presentation
立命館大学衣笠キャンパス(京都府・京都市)
Year and Date
2016-07-08 – 2016-07-09
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