2016 Fiscal Year Research-status Report
フローベール『聖アントワーヌの誘惑』におけるファム・ファタル神話研究
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26370372
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
大鐘 敦子 関東学院大学, 法学部, 教授 (50350541)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | フローベール / 草稿研究 / ファム・ファタル / 聖アントワーヌの誘惑 / メッシナ大学 / 生成研究 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度も引き続き、フランス国立図書館で、当該草稿の調査と解読作業を集中的に実施した。また国立科学研究センター・近代テクスト・草稿研究所(CNRS-ITEM)のフローベール研究グループによるSeminaire Flaubertに定期的に参加し、フローベールと関連する周辺作家についても、国際会議への参加を心がけた。ルーアン市立図書館など作家の故郷でも本作品に関する資料を調査して解読作業を実施し、その研究作業や実績についてカントルー市広報で取り上げられた。 4月末には、草稿研究の草分け的存在であるメッシナ大学(イタリア、シチリア)の文学部学部・大学院合同セミナーに招かれ、「執筆中のフローベール」として、研究成果公開促進費で上梓した校訂版をもとに講演を行った(Flaubert au travail)。 ファム・ファタル神話に関しては、フローベールとゾラにおける草稿と決定稿を比較した論考をまとめ、2017年1月にRomantisme誌に掲載された。 「ファム・ファタル研究」の成果として、研究成果公開促進費で出版した3年間の草稿研究の成果について、フランス国立図書館創設のBulletin de bibliophile、一般文芸誌Magazine litteraire、ルーアン大学フローベール研究所、イタリアの著名雑誌Studi Francise等で、書評が掲載された。 継続している本ファム・ファタル研究プロジェクトについては、「サラムボー」で研究代表者が2012年に主催したイヴァン・ルクレールフローベール研究所長による「サラムボー出版150周年記念招聘講演会(サラムボーにおけるファム・ファタルとファタリテ)」が日本の研究者たちに強い刺激とを与え、2016年5月には、この講演会を受けて、本プロジェクトの中心テーマの一つである「サラムボーにおけるファタリテ」を扱った同主題の論文(群馬大学三原智子による)がルーアン大学フローベール研究所のサイトに掲載され、「ファタリテ」のテーマの重要性が認められた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
現在のところ、転記作業も順調にすすみ、最終年度に研究協力者として招聘するジャンヌ・ベム名誉教授(ラ・サール大学)の準備やその成果発表の準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は予定どおり、転記作業を仕上げてその成果を掲載するとともに、招聘講演会の成果として、ファム・ファタル(宿命の女)およびファタリテ(宿命)論の研究を深めて成果を発表する予定である。
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Causes of Carryover |
昨年度はサバティカル研究のためフランスに在住しソルボンヌ大学客員研究員として研究していたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
本年度は、研究計画にあったように『聖アントワーヌの誘惑』の第一人者、ジャンヌ・ベム名誉教授(ラ・サール大学)を招聘し、三つの講演会を実施する(関東学院大学、東京大学、大阪大学)。東京大学では、日本フランス語フランス文学会の特別講演2として実施を許可された。その成果を研究に反映するとともに、夏季休暇には、フランスで最後の解読作業と、論文作成を行うため、出張する予定である。
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Research Products
(9 results)