2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study in Alain Robbe-Grillet's works in his later years
Project/Area Number |
26370374
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Research Institution | Kansai University |
Principal Investigator |
奥 純 関西大学, 文学部, 教授 (00152413)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ロブ=グリエ / ヌーヴォー・ロマン / 自伝 |
Outline of Annual Research Achievements |
2016年度は本研究課題の最終年度であった。研究開始当初に予定していたイスタンブール市街の現地調査はテロ事件多発により危険回避の必要から断念せざるを得なかったが、研究を続ける中で必要性が高くなってきたロブ=グリエが幼少時代を過ごしたフランスのブレスト市街とパリ市街の現地調査を2016年7月28日から同年8月8日にかけて行い、作品に描かれた自伝的事実が作品の物語構成に関わる役割について極めて重要な知見を得ることができた。そして、過去2年間の研究成果にこの実地調査よって得られた知見を加えることによって、本課題のメインテーマであるロブ=グリエの後期作品群の中心を成す自伝的作品、ロマネスク三部作の分析を大きく進めることができた。具体的には、1985年から94年にかけて発表されたロマネスク三部作は、決して自伝の作成を目的として書かれたものではなく、逆に、文学の物語世界というものは、そしてまたその世界を描き出す自我というものも、決して実在し得ない「あるがままの人生」と、その対極にあるこれまた実在し得ない純然たる虚構の中間に展開しているものであるというロブ=グリエの独特な世界観を表現しようとして書かれたものであることを明らかにすることができた。以上の研究成果について、その概略を、2016年12月17日に関西大学で開催された関西大学フランス語フランス文学会において「アラン・ロブ=グリエのロマネスク三部作について(1)」という表題で口頭発表を行い、詳細については、「アラン・ロブ=グリエの後期作品の研究(2)」(関西大学文学会発行『関西大学文学論集』第66巻第3号、2016年12月10日)と「アラン・ロブ=グリエの後期作品の研究(3)」(関西大学フランス語フランス文学会発行『仏語仏文学』第43号、2017年3月15日)の2本の論文として発表した。
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Research Products
(3 results)