2017 Fiscal Year Annual Research Report
Reinterpretation of 18th century german poetics: an atempt to understand >affect< in the imitation theory under the view of changes of stories
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26370384
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
福田 覚 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (40252407)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 独文学 / 18世紀 / 詩学 |
Outline of Annual Research Achievements |
4年目に当たる2017年度も、文献収集を継続しつつ、理論的考察の発展を試みた。 複写による文献収集は、6月と8月にベルリンの国立図書館で行い、啓蒙主義時代における演劇作品を物語論的に捉え返す際に参照する、デジタル化されていない二次文献を中心に収集した。 理論的考察は、当時の詩学の議論を<物語論的再解釈>という視点で捉え直すことを具体的な作品に拡張して行うことが中心で、啓蒙主義時代の演劇作品のストーリー展開を、人物単位の物語の鬩ぎ合いから生成されるものと見て、その動態を把握し記述した。さらには、物語の動態と情念の喚起の関係について考察し、当時の演劇に見られる情念論の考え方を物語概念から捉え直した。 前者に関しては、臨床心理の解釈法に近づけるかたちの記述も試みた。精神分析的解釈のなかでも物語の関係論という視点をすでにもっていると見れるフロイトの作品解釈を参照するなどした。さらに、物語展開のグリップを握る者という観点から、特権的な作者がいないなかでの作者性の争いという様相について記述し、作者性を喪失するとその者の描く物語が変容する点などを考察した。 後者に関しては、悲劇が潜在的な葛藤を可視化し、作者性を失った主人公が最後に不幸のどん底で作者性を取り戻すところに情動性の極点があり、作品世界の悲劇的結末と受容者の現実世界のパラダイムの更新がそれによってリンクする様を考察した。また、劇作品全体を通してなされる、同化と異化をめぐる情念の喚起は、詩学的な議論の枠組みのなかで作品世界と現実世界について想定されてる距離感を反映したものとなっていることが理解された。大枠として、同化的情念は登場人物が作者性を失っている状態に対して喚起されること、異化的情念は受容者の物語への囚われに関わることが推定された。
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Research Products
(2 results)