2016 Fiscal Year Research-status Report
宗主国の交代と植民地―20世紀スペイン語圏カリブ地域文学における共同体意識の研究
Project/Area Number |
26370396
|
Research Institution | Tokyo University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
久野 量一 東京外国語大学, 大学院総合国際学研究院, 准教授 (70409340)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
Keywords | キューバ / 社会主義リアリズム / 植民地 / ソ連 / 正典 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成28年度は以下の2点について研究を推進した。①研究課題に関する資料収集、②キューバ革命以降の文化における「正典」及び「外典」の位置付けとキューバ版の社会主義リアリズムについて。 以上の研究活動を通じ、1本の論文を執筆し(2017年3月に刊行)、隣接分野の研究者の招待による研究会での発表(2016年6月)、所属する研究会での研究発表(2016年7月)、世界文学に関する研究会で発表(2017年3月)を行った。 また、ソ連育ちのキューバ作家について文芸誌に翻訳紹介し、解説を執筆した(2016年10月)。また、社会主義リアリズムやキューバ文化に関する研究会にも参加し、知見を得た。 これらによって、革命以降の文学を「正典」と「外典」におおよそ大別し、ソ連時代の「国民文学」生成過程を捉え直すことができた。このことにより、国民文学から排除されたものを抽出することも可能になった。 近年キューバはオバマ政権の米国との国交正常化という大きな変革があったが、2016年はフィデル・カストロの死という革命後のキューバがいつかは直面するはずの避けられない出来事が起きた。しかもほぼ同時期にトランプ政権が誕生し、この政権が今後のキューバにどのような影響を及ぼすのかはまだ不明瞭なままである。こういった国内政治体制や国際情勢の変化、特に米国の政策は本研究課題で検討する「宗主国の交代」とも関わる現象であり、同時代のキューバの変化を見つめることの意義を確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究課題で対象としているカリブ諸国で研究調査を行う予定としていたが、本務校の業務により、海外出張ができない状況にある。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は海外での研究調査を行いたいと考えているが、本務校の業務により不可能になった場合には、さらに進捗が遅れる可能性がある。
|
Causes of Carryover |
平成28年度は本務校の業務により、海外調査を行う状況になく、予定していた調査を中止したために次年度の使用額が生じている。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成29年度についても本務校の業務負担がさらに増えた場合を除いては、海外調査を実施する予定である。
|