2016 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370407
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
野村 鮎子 奈良女子大学, 人文科学系, 教授 (60288660)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
田口 一郎 東京大学, 大学院総合文化研究科, 准教授 (70303097)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 列朝詩集小伝 / 銭謙益 / 明詩 / 明末清初 |
Outline of Annual Research Achievements |
28年度も前年度にひきつづき、研究グループによる「『列朝詩集小伝』講読会」を定期的に開催して解読を進めた。28年度に開催した研究会は13回で、とりあげた詩人の小伝は、楊維楨(甲前集巻七)、高啓(甲集巻四)、楊士奇(乙集巻一)、高廷礼(乙集巻三)、王守仁(丙集巻四)、 康海(丙集巻十一)、辺貢(丙集巻十一) 、謝榛(丁集巻五)、唐時升(丁集巻十三之上)、婁堅(丁集巻十三之上)である。 また、これまでの研究会で得られた知見をもとに、日本中国学会第68回大会(2016年10月8日、於奈良女子大学)のパネルディスカッションの部で、「詩人の伝記と批評はどのように形づくられるか―『列朝詩集小伝』を例に―」をテーマとする報告と公開討論会を開催した。野村鮎子(研究代表者)は「『小伝』の依拠資料からみた『列朝詩集』の性格」を報告し、『列朝詩集』の編纂者である銭謙益が呉の文学の継承者であることを自負し、それが『小伝』編纂時の資料の取捨選択にも表れていることを明らかにした。田口一郎(研究分担者)は「「謝榛小伝」からみる『列朝詩集』の性格」を報告し、文学史的には「後七子」の一人とされる謝榛伝をとりあげ、銭謙益による詩人評価が偏向していることを明らかにした。和泉ひとみ(研究協力者)は「『小伝』における李東陽及び湯顕祖の評価について」は、李東陽伝と湯顕祖伝を通じて『小伝』の伝記編纂の恣意性を明らかにした。松村昂(研究協力者)は「『小伝』における李卓吾の位置づけについて」を報告し、李卓吾小伝が「閏集」、つまり一般の詩人とは別の、「異人」として収録されていることの背景や銭謙益の李卓吾に対する微妙な対し方を指摘した。 また、北京の国家図書館特蔵善本書室、大阪大学懐徳堂文庫、国立公文書館内閣文庫に赴き、『列朝詩集』および『列朝詩集小伝』が編纂された過程についての調査を進めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
計画どおり、28年度は研究会を13回、月に1回以上の頻度で開催し、『列朝詩集小伝』について共同で解読を進めた。これまでに研究会で取り上げた詩人の『小伝』は、科研費研究に採択される以前の研究会の成果を加えると、ほぼ目標である50篇に達している。そして、これらのうち、40篇については原稿の整理を一通り終えている。『小伝』が編纂された過程についての調査もほぼ順調に行われている。 また、当初計画していたシンポジウムについては、日本中国学会第68回大会(2016年10月8日、於奈良女子大学)におけるパネルディスカッションという形に変更して開催した。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、成果の公表をめざして、各自で担当詩人についての原稿の整理を行い、平成30年度研究成果公開促進費(学術図書)を申請する予定である。 また、これまでに索出した『列朝詩集小伝』の原資料を確認し、さらに不十分な点を再度探索するため、国内外の図書館への資料調査を行う計画である。
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Causes of Carryover |
当初は単独でシンポジウムを開催することを計画していたが、日程上の理由で、同じ内容を日本中国学会第68回大会(2016年10月8日、於奈良女子大学)におけるパネルディスカッションのプログラムに組み込んだため、パネリストの出張旅費が不要になり、経費を抑えることができたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は、これまでに索出した『列朝詩集小伝』の原資料を確認し、さらに不十分な点を再度探索するため、国内外の図書館への資料調査を行う予定であり、研究代表者および研究協力者が国内外の図書館に資料調査に赴くための旅費として使用する予定である。
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Research Products
(4 results)