2017 Fiscal Year Annual Research Report
Knowledge of Encyclopedias, Geography, and Written Expression During the Jin and Song Dynasties
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26370408
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Research Institution | Nara Women's University |
Principal Investigator |
大平 幸代 奈良女子大学, 人文科学系, 准教授 (90351725)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 地志 / 山水 / 神境 / 皇覧 / 桃花源記 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、晋宋時期の学術(博物地理学)と著述活動に関して、主に次の二つの方面から考察を進め、その成果を国際学会(ワークショップ)で発表した。 1)南朝宋代における「冢墓」をめぐる学問と類書『皇覧』の受容について 魏の文帝曹丕が編纂させた『皇覧』(すでに散佚)は、類書(百科全書)の嚆矢だとされる。これまで、曹丕の編纂意図および『皇覧』本来の性質については明らかにされてきたが、後世の受容についてはなお十分に論じられていない。『皇覧』は南朝宋代に二種類の再編集本が作られており、その編者である何承天と徐爰は、それぞれ文帝・孝武帝の時期に礼学および史学の権威として活躍した人物であった。また、『皇覧』には「冢墓記」という編があり、後世に伝わる佚文の大半も冢墓に関するものであることから、南朝宋における再編纂と「冢墓」への関心の高まりが、その後の『皇覧』の受容のされ方を大きく左右したと考えられる。本研究は、香港城市大学で開催された「中國文學研究新視野:文本的流傳與閲讀」において、「《皇覽》的流傳與劉宋“冢墓”之學」と題して発表したのち、『古典文献研究』(南京大学古典文献研究所)第20輯(下)に掲載された。 2)晋宋時期の地方志における山水中の神境描写と「桃花源記」とのかかわりについて 本研究期間中に明らかにした地方志の山水記述の特色を整理し、山水地志の神境描写の系譜の中に「桃花源」を位置づけなおして、新たな陶淵明「桃花源記」の読みを提示した。本研究は、「人境與神境―《桃花源記》與晉宋時期荊湘地志之關係」と題し、台湾の國立清華大学で開催された「中古文學與漢學研究工作坊」にて発表した。 他に、『第十一屆馬來西亞漢學國際研討會論文集』に、論文「張華“博物”故事之背景―試探六朝“博物類志怪小説”與地理書之關係」が掲載された。
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