2016 Fiscal Year Annual Research Report
Chinese Nationalism in the early twentieth century; Zhou Zuoren and folklore
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26370414
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
子安 加余子 中央大学, 経済学部, 准教授 (10377468)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 周作人 / 柳宗悦 / 日本民藝運動 / 『月刊民藝』 / 吉田璋也 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、一年目(周作人と人類学周辺:フレイザー)、二年目(周作人と日本民俗学:柳田国男「郷土研究」と江馬修『ひだびと』)の研究成果を踏まえ、周作人と日本民俗学との重要な関連性を補足する意味で、周作人と柳宗悦(日本民藝運動)に関して集中的な検討を行ってきた。 柳宗悦(1889-61年)とは、周作人が柳田国男と並び称する形で自身の民俗学形成に際して敬意を以て接したという記述を残す人物である。『白樺』同人であり宗教哲学者にして日本民藝運動の創始者であることはよく知られる。朝鮮の民藝美に強く魅せられた柳宗悦の、朝鮮人に対する日本の軍国主義に抗議した姿勢は、日本の人情美に魅せられ、日本文化に並々ならぬ関心を寄せた周作人にとって、相応の意味を有したと推測される。とりわけ、柳宗悦の民藝運動が周作人の民俗学形成に与えた意味は大きく、その意味を考察することは、ひいては日本占領下で日本と決別しながらも、例外的に日本の民俗だけは語りえたことの真意を探ることを可能にする。以上の問題関心に基づき、必要な貴重資料の収集購入(雑誌『民藝』ほか)、テクストの集中的精読を経て、考察した。その成果を、中国文芸研究会に学会誌『野草』に投稿し、査読を経て掲載の運びとなった。その後、同学会の書評の会で取り上げられ、論文評を得、今後の課題が明確になった(関西で開催された。申請者も参加予定であったが校務を優先せざるを得ず、スカイプで参加した) 上記の仕事と並行して、申請者が作成中であった「周作人・民俗学関連書講読年表1912-1934(未定稿)」が一応の完成をみた。以上の三年間の研究から、中国民俗学の形成を通じて、周作人が20世紀に初頭に掲げた「知」のあり方の、学術的意味の一端を証明することが可能となり、今後、総括していく予定でいる。
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Research Products
(1 results)