2014 Fiscal Year Research-status Report
漢魏晋南北朝隋唐に於ける『山海経』の受容について―神話と文学・社会
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26370415
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Research Institution | Nishogakusha University |
Principal Investigator |
松浦 史子 二松學舍大學, 文学部, 講師 (80570952)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 『山海経』 / 祥瑞 / 異形 / 『瑞応図』 / 『天地瑞祥志』 / 徳興里古墳壁画 / 吉利・富貴 / 獣頭獣足の鳳凰 |
Outline of Annual Research Achievements |
【文献研究】①唐代には重要な祥瑞(大瑞)として分類された獣頭獣足の鳳凰「吉利・富貴」の受容と成立を巡って、六朝梁・孫柔之『瑞応図』ほか、現在、中国の周辺部に保存される各種祥瑞図・祥瑞志(前田尊経閣文庫蔵『天地瑞祥志』、『延喜式』「治部省」祥瑞項目、敦煌将来『瑞応図』、北朝鮮徳興里・高句麗古墳祥瑞壁画、等)を手がかりに検討した。その結果吉利・富貴が、魏晋~隋唐に掛けて天下に災いをもたらすと懼れられた四凶鳳(發明、焦明、〔粛+鳥・霜+鳥〕、幽昌)の存在をアンチテーゼとして新たに成立・受容を見た、『山海経』の鳳凰の系譜に連なる吉鳳であったこと等を明らかにした(なお『天地瑞祥志』所載の吉利・富貴を巡る文字資料と徳興里古墳の吉利之象・富貴之象の傍題を持つ図像比較は国内外共に初の試みである)。②中国の詩跡について主に華北(碣石山・山海関・恒山・北岳廟・大同・雲崗石窟・華厳而・懸空寺等)の事典項目の執筆を担当し、北朝~隋唐に於ける『山海経』受容理解の一助とした。
【図像研究】①七月三十一日~八月二日まで、流通経済大学専任講師・冨田美智江氏、東京美術学校非常勤講師・友田真理氏・青山学院大学非常勤講師・福田素子氏、明星大学准教授・山崎藍氏等と共に、湖北省武漢市にてフィールド調査を行った。調査に当たっては、陝西省考古研究院・王〔火+韋〕林院長、湖北省部社会科学院文物研究所・孟華平副館長の助力を得た。孟副館長の取り計らいにより文物局の専用車にて武漢市郊外の盤龍城遺跡(殷~)にて発掘中の遺跡・周囲の状況などを撮影・実地見学。②九月七日~九日まで、「論文:獣頭の鳳凰「吉利・富貴」について-乱世を翔る吉鳥たち」に関する多角的研究を目的とし、奈良明日香村出土の高句麗式古墳に観る図像調査・現地見学を行った(明日香村キトラ古墳、都塚古墳、高松塚古墳等)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
・下半期の体調不良により、当初の研究計画からやや遅延気味。
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Strategy for Future Research Activity |
・華北・河西の魏晋十六国墓より出土した魚に関する図像(飛魚・人面魚図)を中心に、該期に於ける「魚」に関する祥瑞観と、それらと『山海経』との関係性について考察予定。
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Causes of Carryover |
研究自体がやや遅延気味のため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連図書の購入を予定している。
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Research Products
(2 results)