2016 Fiscal Year Annual Research Report
A STUDY ON ORAL LITERATURE OF JINHUA,ZHEJIANG,CHINA: MAINLY FOCUS ON JINHUA-DAOQING
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26370418
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
松家 裕子 追手門学院大学, 国際教養学部, 教授 (20215396)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
磯部 祐子 富山大学, 人文学部, 教授 (00161696)
小南 一郎 公益財団法人泉屋博古館, 学芸課(本館), 館長 (50027554)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 金華道情 / 口承文芸 / 語りもの / 宝巻 / 宣巻 / 蚕歌 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究のこの年度の研究実績は、中国浙江省の歌と語りによる藝能にかかわるものであるが、それらは主たる研究対象である金華道情とそれ以外に分かれる。金華道情は、盲人を主たる担い手とし、文字の文化の影響を受けにくかった点に最大の特徴がある。本研究では、生きた上演に立ち会い、優れた芸能者に聞き取りを行い、また近年文字に起こされたテキストを丁寧に解読して、金華道情の実態を明らかにし、2篇の論文として公表した。中国国内にも金華道情の研究者はいないかごく少数であるから、これ自体、価値があることだろう。とりわけ、金華道情には、儒家思想の影響のもとにある中国文学の表に現れにくい、たとえばあっけらかんとしたエロティシズムや破壊的なトリックスターなどが頻見され、人間世界に普遍的なこうした文化が、中国民間に生きてきたことをここで確認できた意義は大きい。 金華道情以外では、本研究グループがもっとも関心を抱いてきた宝巻(あるいはこれを歌い語る宣巻)について研究を進めた。実地調査の成果をも生かし、仏教・道教など大きな宗教の枠組みから離れることによって、その社会的機能、すなわち「勧善」「孤魂の慰撫」「免災」などから宝巻の有効な分析が可能であることを示すことができた。紹興宣巻と死者儀礼とのかかわりを、実地調査において確認できたことも、まだ文章化していないが、大きな収穫である。 さらに、研究協力者の要木(藤田)佳美先生が、同じ浙江省の桐郷で、蚕神の信仰とその歌謡について調査を行なわれた。 最終年度の最大の成果は、期間内に発表した本研究に関連する文章をまとめ、冊子型の報告書を作成したことである。この冊子には、上記、桐郷の蚕神信仰とその歌謡についての書きおろしの報告も寄せられた。 報告書が必要な場合は、松家matuka@otemon.ac.jpへ請求されたい。
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