2014 Fiscal Year Research-status Report
イランの口承文芸に関する現地調査資料の基盤整備と民俗学的応用研究
| Project/Area Number |
26370427
|
|---|
| Research Institution | Osaka University |
|---|
Principal Investigator |
竹原 新 大阪大学, 言語文化研究科(研究院), 准教授 (20324874)
|
|---|
| Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
|
| Keywords | 外国語(中･英･仏･独除く) / 外国文学(中･英･仏･独除く ) / 民俗学 / 口承文芸 / フィールドワーク / イラン |
|---|
| Outline of Annual Research Achievements |
本研究はこれまでに研究代表者（竹原）がイランで収集してきた民話、伝説、民間信仰等の口承文芸に関する資料の基盤整備とこれらの資料を用いた民俗学の分野での応用研究を主な目的とすることを勘案し、本研究の初年度となる平成２６年度は、主に次のような研究を行った。
１．イランにおける調査：イラン・イスラム共和国テヘラン州内において、従来からの調査方法を踏襲し発展させる形で、話者と対面して音声を録音し、話者の写真を撮影する方式で口承文芸に関する調査を行った。同時に、過去に収集した資料に関する疑問点などを確認することを目的とする確認調査を行った。録音・撮影を伴う調査では話者の氏名等の個人情報を記録するため、採録に用いたカードにサインを求める形で資料の研究上の利用に関する同意を得た。音声資料についてはペルシア語で翻字を行い、一般的なペルシア語コーパスデータとして使用できる状態とした。
２．資料の整理：従来の作業を継続する形で、XML形式で整形された口承文芸資料の一部について、ペルシア語の統語情報などが付与される構造化資料を拡充するための作業を行った。なお、この作業についてはペルシア語の知識を有する学生を研究補助者として活用した。
３．成果の公開：上記１に関連する研究として、論文「現代イランの吉凶観」を発表した。同論文ではイランの俗信の吉凶観に関する事例を整理して提示した上で、現代イラン人の俗信は現世の吉凶が動機となること等を明らかにした。
|
| Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
これまでにフィールドワークにより断続的に収集してきたイランの民話、伝説、民間信仰等の口承文芸に関する音声資料の整備が目的の一つであるが、ペルシア語の知識を有する学生を研究補助者として活用する形で作業を進めている。また、イランで新規に調査し、収集した分に関しては、ペルシア語の翻字を行い、一般的なコーパスを使った研究に使用できる状態にした。さらに、実際に収集した資料を用いて論文を発表している。これらのことから、「おおむね順調に進展している」と評価した。
|
| Strategy for Future Research Activity |
前項で「おおむね順調に進展している」と自己点検による評価を行った通り、現在のところ研究の進捗状況は順調と判断できる範囲内にあるため、今後の推進方策についてもおおむね計画の通りに推進する予定である。
|
| Causes of Carryover |
交付申請の段階で旅費は534,300円としていたが、実支出は578,340円と予定を上回った。反対に、交付申請の段階で物品費は203,000円、人件費・謝金は62,700としていたが、実支出は物品費が161,352円、人件費・謝金が39,900円と予想を下回った。このため、次年度使用額20,408円が発生した。
|
| Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度使用額20,408円については、本研究の主な目的である資料の整備を充実させるために使用する計画である。
|
