2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370434
|
Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 渉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (90293117)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
|
Keywords | 格 / 格階層 / 有標性 / 役割指示文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は(昨年度に引き続き)ロシア語及びヒンディ語の不定詞構文に注目した。 ロシア語では,伝統的に具格が最も無標的な斜格とされている(Jakobson 1936)。これに対して,海外学会での発表では,具格は意味的には与格より無標的であるが,形態的には与格より有標的であることを示した。昨年度はロシア語の不定詞構文の意味上の主語が与格標示を受ける理由を,①ロシア語で主格標識を付与する制約の適用が時制を持つ節に限定されること,②主格に次いで無標的な格標識が与格であることに求めたが,その結論の妥当性を示した。また,ヒンディ語では、不定詞構文に生じる他動詞の主語のみが主格標示を受け,自動詞の主語及び他動詞の目的語は属格標示を受けるが,格標識の有標性階層はロシア語と同様であることを確認した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ロシア語の不定詞構文の格フレームの研究(与格標識と具格標識の関係等)に予想以上に時間を取られたため、当初予定していたフィンランド語(不定詞構文の意味上の主語は属格標示を受ける)、エストニア語(不定詞構文の意味上の主語は分格標示、又は接格標示を受ける)への拡張及び格階層を用例依存的に導く作業を行うことができなかった。
|
Strategy for Future Research Activity |
今年度はフィンランド語とエストニア語の不定詞構文の格フレームを考察すると共に、意味上の主語の格標示を決定する要因の一つである格の有標性階層を用例依存的に導く作業に着手する。
|
Causes of Carryover |
購入を予定していた書籍が入手できなかったため。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度に購入予定。
|
Research Products
(2 results)