2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Crosslinguistic Study of Case Frames in Nonfinite Clauses
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26370434
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Research Institution | Tohoku University |
Principal Investigator |
中村 渉 東北大学, 高度教養教育・学生支援機構, 准教授 (90293117)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 格 / 格階層 / コントロール構文 / 役割指示文法 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は不定詞補部の格フレーム,特にコントロール構文に生じる不定詞補部の主語の格標示の通言語的変異を,役割指示文法(Van Valin 2005)の文の層状構造(内核⇔中核⇔節)と層状構造に基づく複文構造の類型論,格付与制約群,格標識(形態的格)の有標性階層及び格付与領域(格付与制約の適用領域が「中核」と「節」に分かれること)を前提として,以下の2点を示した。 まず,ロシア語とアイスランド語のコントロール構文における不定詞補部の意味上の主語の格標示(与格⇔主格)を両言語の格付与領域の相違(ロシア語の格付与領域=節,アイスランド語の格付与領域=中核)及び格標識の有標性階層から導いた(アイスランド語のコントロール構文・繰り上げ構文の不定詞補部の主語を修飾する数量詞/叙述補部の格交替は不定詞補部の主語と主節のコントローラーの構造共有の有無から導く)。次に,日本語の願望構文における不定詞補部の主語の格交替(主格⇔与格)を,願望構文が伴う複文構造の相違(中核従位接続⇔中核等位接続)及び日本語の格付与領域(中核)から導いた。 最後に,与格標識を持たないエストニア語の不定詞補部の意味上の主語の格標示の漸次的推移(分格⇒接格)については,接格の(他言語の与格に通じる)デフォルト的性格を指摘した国内の先行研究(例:松村1992, 2011)を踏まえて,上述の変化を近年のエストニア語における分格/接格の相対的有標性の変化により説明することを構想していたが,実現には至らず,将来の研究課題として残った。
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Research Products
(3 results)