2014 Fiscal Year Research-status Report
構文理論・用法基盤アプローチによる条件構文の使用と習得に関する研究
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26370441
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 聖子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70165330)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 条件構文 / 構文理論Construction Grammar / 語用標識・語用標識化 / 談話標識・談話標識化 / 接続構文 / 話し言葉・書き言葉コーパス / 談話と文法 / 用法基盤アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、構文理論および用法基盤モデルに基づき、言語使用・言語獲得・学習のコーパスデータを用いた分析および実験を通して、日本語の接続構文 ―特に条件構文とその周辺― に関して、その多義性・多機能性、談話における使用実態、言語発達における習得、さらに語用標識化・談話標識化の諸相を複合的に分析し、理論的かつ実証的に探求することを目的とする。 初年度である2015年度には、学術的背景、特に、接続構文―とりわけ条件構文とその周辺―の研究、および、語用標識(化)・談話標識(化)に関して、海外当該研究拠点においてその分野で先駆的研究を展開してきている研究者との研究交流やディスカッションを行った。それらの研究者の最近の研究について,面談において直接説明を聴き、本研究で進めている研究についても説明をしコメントを受けた。 さらに、「条件構文―の多義性・多機能性・多層性を明らかにし、その意味拡張・機能拡張のメカニズムを探求する」という目的に一細目に焦点をあて、書き言葉コーパス・話し言葉コーパスを用いた分析を通して、「条件構文を基盤とする語用標識化・談話標識化の諸相を理論的かつ実証的に分析・記述する」ための事例研究を進めた。具体的には、「なら」「だったら」「だとしたら」等が発話冒頭・左周辺部で用いられる現象の分析を行った。分析の成果を論文としてまとめ、2015年11月に米国Santa Barbaraで開催されたCSDL 12(Conceptural Structures, Discourse, and Language)において発表した。この論文では、BCCWJやCSJ等のコーパスを用いた事例分析に基づく分析・記述に加え、間主観性に関しても分析し、間主観性の意味を再考した。CSDL前後にも、カリフォルニア大学バークレー校やサンタバーバラにおいて、本分析を発表しフィードバックを受け議論する機会を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
初年度である2015年度には、学術的背景、特に、接続構文―特に条件構文とその周辺―の研究、および、語用標識(化)・談話標識(化)に関して、海外当該研究拠点おいてその分野で先駆的研究を展開してきている研究者との研究交流やディスカッションを行った。 同時に、書き言葉コーパス・話し言葉コーパスを用いた分析を通して、条件構文を基盤とする語用標識化・談話標識化の諸相を理論的かつ実証的に分析・記述する研究を進めた。この研究成果を論文にまとめ、2014年11月に米国Santa Barbaraで開催されたCSDL 12(Conceptural Structures, Discourse, and Language)において発表した。さらにカリフォルニア大学バークレー校において、本分析を発表しフィードバックを受け議論する機会を得た。 さらに、研究成果を、翌年度開催される国際認知言語学会(イギリス、2015年7月)や国際語用論学会(ベルギーアントワープ、2015年7月)に論文抄録を投稿し採択された。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も、条件構文を基盤とする語用標識化・談話標識化の諸相を理論的かつ実証的に分析・記述する研究を継続する。さらに、条件構文の語用論的分析を継続し、間主観性の観点から(その再考や批判的考察も含め)分析を進める。それらの研究成果を、国際学会で発表し、分析を発信するとともにフィードバックを受けたり議論をしたりする機会をもつ。2年次である2015年度には、国際認知言語学会(イギリス、2015年7月)において、左周辺部の談話標識化の分析に関して発表する予定である。さらに、国際語用論学会(ベルギーアントワープ、2015年7月)において、条件構文の間主観性や語用論的特質について、再考する分析を発表する予定である。 2年次以降は、上記切り口での分析の継続に加え、条件前件節のみの使用と文法化・構文化に関して(Insubordination理論 (Evans 2007等))分析を行う。また、 「語彙と構文」の観点から、条件構文基盤のモダリティ複合辞構文に関して、参与する語彙とともに分析・記述する。 さらに、これらの問題・現象に関して、日本語に加え英語の分析を行い、日英語の対照も行う。
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Research Products
(5 results)