2015 Fiscal Year Research-status Report
構文理論・用法基盤アプローチによる条件構文の使用と習得に関する研究
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26370441
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
藤井 聖子 東京大学, 総合文化研究科, 教授 (70165330)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 条件構文 / 構文理論Construction Grammar / 語用標識・語用標識化 / 談話標識・談話標識化 / 接続構文 / 話し言葉、書き言葉 / 談話と文法 / 用法基盤アプローチ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、構文理論および用法基盤モデルに基づき、言語使用・言語獲得・学習のコーパスデータを用いた分析及び実験を通して、日本語の接続構文 ―特に条件構文とその周辺― に関して、その多義性・多機能性、談話における使用実態、言語発達における習得、さらに語用標識化・談話標識化の諸相を複合的に分析し、理論的かつ実証的に探求することを目的とする。 二年次である2015年度には、目的の一つである「条件構文―の多義性・多機能性・多層性を明らかにし、その意味拡張・機能拡張のメカニズムを探求すること」に焦点をあて、書き言葉コーパス・話し言葉コーパスを用いた分析を通して、条件構文を基盤とする語用標識化・談話標識化の諸相を理論的かつ実証的に分析・記述する研究を進めた。とりわけ、条件構文を基盤とする左方周辺部での語用標識(化)・談話標識(化)の分析を行った。さらに、談話における条件構文の使用を主体性や主観性(subjectivity) ・間主観性 (subjectivity)の観点から考察した。 これらに基づき、2015年7月にイギリスで開催されたICLC13国際認知言語学会において前者分析に関する論考を、2015年7月にベルギーアントワープで開催されたIPrA国際語用論学会において後者分析に関する論考を発表し、海外諸国の研究者との議論・研究交流を行った。また、カリフォルニア大学バークレー校においても認知言語学セミナー等で本研究に関して議論・研究交流を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
書き言葉コーパス・話し言葉コーパスを用いた分析を、初年次・二年次から着手し、理論的考察・データをも用いた分析ともに進めてきている。また、それら進行中の研究や成果に関して、初年次CSDL 12Conceptural Structures, Discourse, and Languageや、二年次、ICLC13国際認知言語学会やIPrA国際語用論学会等の国際学会において発表し、フィードバックを受け議論する機会をえることができた。
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Strategy for Future Research Activity |
初年次・二年次から着手し進めてきてきた書き言葉コーパス・話し言葉コーパスを用いた分析を継続する。また、それらに関して論文を執筆する(条件構文研究の総説を‘The Cambridge Handbook of Japanese Linguistics’の章として執筆; 条件構文使用の主体性や主観性・間主観性に関して著書の一部として予定)。さらに、既存のコーパスを用いた分析に加え、新たな話し言葉・会話データの収録のために参加者を募り収録や音声・ビデオデータの文字化やそれらの分析を三年次以降に進める。
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Causes of Carryover |
データ収集・データ処理の一部が(参加者募集や参加者都合の影響で)次年度に実施することになったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
データ収集のための参加者募集を継続し、データ収集・データ処理を次年度に実施する。
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Research Products
(6 results)