2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370460
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Research Institution | Nihon University |
Principal Investigator |
内堀 朝子 日本大学, 生産工学部, 准教授 (70366566)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
松岡 和美 慶應義塾大学, 経済学部, 教授 (30327671)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本手話 / WH疑問文 / 文末指さし / 文末WH |
Outline of Annual Research Achievements |
H26年度は本研究プロジェクトの初年度として,まず日本手話の基本的表現の各種について,調査・確認を継続的に行った。 また,WH疑問文に関しては,WH疑問文において随意的に生起可能な文末指さしについて,平叙文を中心としてデータ調査を複数回行った。文末指さし表現は,文末WH要素に後続し,疑問素性を担うNMM(Q-NMM)を伴う語彙要素であるため,文末WH疑問文の構造を知るために,重要な手がかりとなることが期待される。 特に,文末指さしが文頭の話題要素を指示する場合に関して,新たなデータについて調査を行い,成果を口頭発表した(H26年11月2日,日本手話学会)。発表内容は以下のとおりである。先行研究では,文末指さし表現の指示対象は,主語ないし文頭の話題要素となっていることが報告されてきたが,話題要素のうち,いわゆる Aboutness Topic の場合は文末表現が指示できず,話題要素に後続する thematic subject のみ指示が可能であると分かった。同時に,Aboutness Topic と thematic subject が所有-被所有の関係にあるときは,文末指さしは Aboutness Topic の指示を許し,thematic subject は指示できないことが判明した。これらの事実は,文末指さしの占める統語構造に示唆を与えるものと考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
WH疑問文自体のデータ調査が,やや遅れている。理由は,文末WH要素と共起する文末指さしに関するデータ調査が先行したためであった。 また,手話言語を含む他言語におけるWH疑問文の統語分析の調査が,やや遅れている。理由は,日本手話のデータ調査に重点を置いたためであった。
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Strategy for Future Research Activity |
日本手話の基本的表現の確認・調査を更に進める。WH疑問文のデータ調査をする際に,日本手話として自然な例文を使用するためである。 また,計画よりやや遅れていたWH疑問文自体のデータ調査に着手する。特に,日本手話のWH疑問文に関する先行研究に基づき,WH要素の分布を確認・調査していく。 さらに,音声言語や他の手話言語におけるWH疑問文(特に,文末WH疑問文)の統語分析に関して,調査・考察を行う。そのために,先行研究の文献を収集する。
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Causes of Carryover |
人件費・謝金の費目において,データ調査の際に常に想定していた手話通訳者が不要であった機会が多く,その分の支出が予算より少なくなったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
人件費・謝金の費目において,手話通訳者の必要性が研究計画立案時の想定よりも少ないことが分かったため,H26年度分からの繰り越し分およびH27年度予算額のうち該当分を,手話データを提供していただく日本手話使用者の方への謝金に充てることとし,データ調査の機会を増やす予定である。
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Research Products
(1 results)