2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370464
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Research Institution | Shokei University |
Principal Investigator |
山川 仁子 尚絅大学, 文化言語学部, 准教授 (80455196)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
天野 成昭 愛知淑徳大学, 公私立大学の部局等, 教授 (90396119)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 日本語音声 / 自然性 / 音響特徴量 / 相対時間長 / 相対強度 / 相対対数基本周波数 |
Outline of Annual Research Achievements |
日本語として自然に聞こえる音声の音響特徴を,音響解析および知覚実験の手法を用いて定量的に解明することを目的とし,平成27年度は下記の2点において研究を進めた。
1. フランス語・英語母語話者の日本語音声の音響的特徴の解析:前年度に解析・実験を行ったアジアの諸言語母語話者計40名のデータに,フランス語・英語母語話者各10名の日本語音声データを追加し,前年度と同じ手法で音響解析を行った。フランス語・英語母語話者の日本語音声は特に相対周波数および相対強度において,日本語母語話者とも韓国語・中国語・ベトナム語・タイ語母語話者とも異なるパタンを示すことが明らかになった。研究結果をInternational Congress of Phonetic Sciences(ICPhS2015), International conference on Second-Language Speech (New Sounds),日本音響学会聴覚研究会で発表した。
2. 日本語音声の自然性の知覚実験:日本語母語話者を対象に,非母語話者音声の自然性の評価実験を行った。非日本語母語話者の発声した音声を,日本語母語話者32 名の実験参加者にヘッドホンでランダム順に呈示し,日本語としての自然性を「とても自然」から「とても不自然」の5 段階で評定させた。この評定値が4 以上の刺激を「日本語として自然である」とみなし,その音響特徴の値を境界値として,自然性の大まかな許容範囲を求めた。韓国語母語話者が発話した音声の自然性に関する結果を,日本音響学会,ECP2015にて発表した。今後は,得られた自然性の許容範囲をより詳細に特定するため,音響特徴を変化させた刺激連続体を用いて知覚実験を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フランス語・英語音声データの追加に伴う,データの再解析等に時間を要したため,平成27年度後半~平成28年度前半に予定していた一対比較法による知覚実験の着手が遅れた。一対比較法による日本語音声の自然性の知覚実験は平成28年度前半に実施する。以上のことから,本研究は当初の計画からやや遅れているといえる
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画書に従い,平成28年度は下記を実施する。 1. 日本語音声の自然性の知覚実験(一対比較法による実験):評定実験により推定された大まかな自然性の許容範囲を,より詳細に特定することを目的とし,一対比較法を用いた知覚実験を行う。
2. 日本語音声の自然性を規定する要因と許容範囲の総合的理解および自然性の定量的予測モデルの構築:知覚実験で得られたデータから,自然性に対する各音響特徴の影響の強さを特定し,音響特徴間の相互作用を解明する。その結果を踏まえながら,日本語音声の自然性を規定する要因と許容範囲の総合的理解を目指す。研究結果を国内外の学会で発表し,そのフィードバックをもとに,論文を学術雑誌へ投稿する。
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Causes of Carryover |
データ再解析等のために平成27年度に実施予定であった知覚実験の一部が実施できなかった。そのため,音声知覚実験の実施のために割り当てた助成金の一部を平成28年度に繰り越すこととした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越した助成金は,音声知覚実験の実施に必要となる実験参加者への謝金,消耗品等に充てる。
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Research Products
(7 results)