2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370466
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Research Institution | Ryukoku University |
Principal Investigator |
前川 貴史 龍谷大学, 社会学部, 准教授 (50461687)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 統語論 / 名詞句 / HPSG |
Outline of Annual Research Achievements |
Head-driven Phrase Structure Grammar(以下HPSG)の枠組みで、英語の名詞句の形態的・統語的構造を明らかにし、それがどのような理論的な帰結を導くことができるかを論じた。
第1に、around a ten thousand copiesのような、前置詞・数詞・名詞によって構成される名詞句「前置詞つき数詞構造 (prepositional numeral construction; PNC)」の統語的特性について考察した. PNCの統語的特性は前置詞の独特の語彙的性質によるところが大きいと考え,具体的な語彙情報を提案した。このテーマの研究については、「数詞を含む名詞句の構造」として京都言語学コロキアム第11回年次大会(2014年8月31日、京都大学)で口頭発表し、「前置詞つき数詞と名詞句」と題して『言葉のしんそう(深層・真相)― 大庭幸男教授退職記念論文集』に論文を発表した。
第2に、these sort of thingsのような、「限定詞・sort/kind/type・of・複数名詞」という構造を持つ名詞句について、とくにsort/kind/typeという語彙(「sort名詞」と総称)の特殊性を明らかにした。sort名詞は単数可算名詞であるので限定詞を必要とするが、その制約が複数形限定詞で満たされているように見える。このような名詞句では sort 名詞が主要部なのではなく、修飾語の一種である functor として機能しており、主要部は of の後ろの複数名詞であると論じた。「these kind of の構造」として六甲英語学研究会(2014年12月17日、六甲勤労市民センター)で口頭発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的は、HPSG の枠組みで、英語の名詞句の形態的・統語的構造を明らかにすることである。これまでの成果は口頭発表2本、論文1本として発表でき、おおむね順調に進展していると言える。特筆すべき点は以下の2点である。
(1)これまでは文法化の観点から主に論じられてきた sort/kind/type の特殊性について、本研究では HPSG の観点から新しい提案ができたと考えられる。
(2)数詞を伴う前置詞については、先行研究が少なく不明な点が多かったが、HPSG という語彙主義的枠組みを導入することにより、これらの前置詞の語彙的特殊性が明らかになった。
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Strategy for Future Research Activity |
2015年度は、2015 Annual Meeting of the Linguistics Association of Great Britain (University College London, 15-18 September 2015) における口頭発表が決定している。また、The 22nd International Conference on Head-Driven Phrase Structure Grammar (11-14 August, 2015, Nanyang Technological University, Singapore) の口頭発表に応募し、現在選考結果を待っている。
これらに加え、国内外の研究者との意見交換を行うため、各種の学会や研究会にも積極的に参加したい。また、主要な学術誌(例えば English Linguistics、Linguistics、Lingua など)に平成26年度の研究の成果の一部を投稿する。
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Causes of Carryover |
420,035円の繰越金があるが、これは予定していた出張を大学業務との関係でいくつか取りやめたためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
各種の研究会・学会に積極的に参加するとともに、国際学会・国内学会において研究の成果を発表し、他の研究者と意見交換を行いたいと考えている。さらに、新しいコンピューターを購入し、データの収集・保存、研究成果の発表に使用する予定である。
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Research Products
(3 results)