2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370472
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Research Institution | Iwate University |
Principal Investigator |
西田 文信 岩手大学, 人文社会科学部, 准教授 (40364905)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | ブムタン諸語 / 記述言語学 / 歴史言語学 / ブータン王国 / 危機言語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、研究代表者がこれまで行ってきたマンデビ語(Mangdebikha : シナ=チベット語族、チベット=ビルマ語派、ヒマラヤ語支、チベット=キナウリ語群、東チベット諸語、Nyenkha、Henkha、Lap、Mangsdekhaとも称される)と系統関係にあるEast-Bodish諸語の系統関係を解明することにある。本年度は、関連文献の収集及び現地調査を中心に行った。関連文献については、邦文・欧文を問わず歴史的関係、人類学関連の文献については収集を行った。現地調査に関しては、ブータン王国において話される少数民族言語について、現地調査を中心とした資料収集を行い、記述言語学的研究を進めた。ブータンではゾンカ語開発委員会などブータン国内の関係部署への訪問を行った。現地調査は2015年8月21日から9月2日にかけて、ブータン王国トンサ県、ブムタン県において行った。ブムタン語、ケン語、ポブジカ語等の語彙調査や自然発話の音声資料を収集した。研究発表は、早稲田大学で開催された第2回ブータン教育講座にて「教育言語としてのゾンカ語」と題して教育と言語の関係について論じ、ブータン研究会にて「ブータン諸語のイネ・コメを表す語彙」と題して報告した。また関連研究として、日本南アジア学会第28回全国大会にて 「Lhokpu語初期調査報告」と題して報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
以下の点に関して達成できたと考える: 当初の予定通りにデータの取集ができ、それを基に研究成果を発表することができたため。具体的には以下の如くである: 【論文】・西田文信. 2015.「ポブジカ語の文の下位分類」『アルテスリベラレス(岩手大学人文社会科学部紀要)』 第96号, pp.19-36.・西田文信. 2016.「A lexicon of Standard Dzongkha」『アルテスリベラレス(岩手大学人文社会科学部紀要)』 第97号, pp.43-77. 【その他】・西田文信. 2016. 「教育言語としてのゾンカ語・ゾンカ語文法の基礎・ゾンカ語基礎語彙」『地球の歩き方2016-2017』ダイヤモンド社. 【学会発表】・西田文信. 2016. 「教育言語としてのゾンカ語」第2回ブータン教育講座. 2015.5.30. 早稲田大学.・ Nishida, Fuminobu. 2015. Linguistic diversity in the Kingdom of Bhutan. 2015.8.28. Royal Thimpu College.・西田文信. 2015. 「Lhokpu語初期調査報告」日本南アジア学会第28回全国大会. 2015.9.27. 東京大学駒場第Ⅰキャンパス.・西田文信. 2015.「ブータン諸語のイネ・コメを表す語彙」第46回ブータン勉強会. 2015.12.27. Lower Motithang, Thimphu. Bhutan.
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Strategy for Future Research Activity |
継続して現地調査を実施する。できる限り多くの言語の語彙資料を収集し、再確認及び発展的調査を行う。マンデビ語ツァンカ方言については文例や語彙の補充を行う。周辺の諸方言はこれまでに行った調査の継続として実施し、高級語彙の補充と基礎文例を採集する予定である。今後さらに整理を進め、これらの諸方言がいかなる歴史的発展を遂げてきたのか、またゾンカ語等のチベット系諸語からうけた影響などの分析を進めていく。いずれの言語も消滅に瀕する方言と考えられ、今後の継続調査が急がれる。 研究成果は口頭発表及び論文の形で発表し、国際的な学会・研究会での発表及び国際誌への掲載を目指す。East Bodish諸語の音韻面における歴史的発展や述語動詞における共時的問題などについて海外の研究者とも研究討議を重ねる予定である。
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Research Products
(8 results)