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2014 Fiscal Year Research-status Report

タンガニイカ湖周辺の人々の移動と言語接触に関する研究

Research Project

Project/Area Number 26370477
Research InstitutionTokyo University of Foreign Studies

Principal Investigator

阿部 優子  東京外国語大学, アジア・アフリカ言語文化研究所, 研究員 (80724442)

Project Period (FY) 2014-04-01 – 2018-03-31
Keywordsタンガニイカ湖 / ベンデ-トングェ / 移住 / 言語取替え / スワヒリ語文化圏 / ブルンジ / ザンビア / コンゴ民主共和国
Outline of Annual Research Achievements

本研究は、タンザニア・ブルンジ・ザンビア・コンゴ民主共和国の4国と国境を接するタンガニイカ湖周辺に暮らす人々の移動と、その移動による言語接触の状況を記述し、接触により引き起こされた言語変化を体系化することを目的とする。また、調査における個別言語(特にベンデ-トングェ語、ハ語、ホロホロ語、フィパ語、マンブウェ-ルング語、ルンディ語、ターブワ語の7言語)の詳細な記述から、未だ十分に明らかにされていない、タンガニイカ湖周辺のバントゥ諸語の歴史・系統関係の一部を明らかにしようとするものである。
平成26年度は、先行研究のデータ整理、比較対象のためのパラメータの検討、および現地調査による個別言語の記述を計画した。調査地は、申請者がこれまで10年近く行ってきたベンデ語調査の拠点の一つであるタンザニアのカレマ村(タンガニイカ湖畔)を中心に、ザンビアのムプルングおよびブルンジのブジュンブラ、ルモンゲ、ニャンザ・ラックの3地点において言語使用調査を実施した。本年度の調査で対象となったのは、タンガニイカ湖畔共通語としての内陸スワヒリ語、ベンデ語、ベンベ語、ターブワ語、ホロホロ語、ルング語、ベンバ語である。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

26年度は、タンガニイカ湖周辺で使用されている6言語(ベンデ-トングェ語、ターブワ語、ベンべ語、ルング語、ルンディ語、スワヒリ語)を調査対象として、タンザニア国、ザンビア国、ブルンジ国に滞在した。
8、9月にはタンザニアのンパンダ町・カレマ村・イコラ村にてコンゴ系住民であるターブワ、ベンベ、ホロホロの調査を行い、とりわけターブワ語およびベンベ語の予備的調査を実施した。タンザニアにおけるホロホロ人の言語使用は認められず、ホロホロ人は完全にベンデ-トングェ語に取り替わっていた。これは19世紀末から始まっており、ホロホロであるというアイデンティティのみ残っているものの、ベンデ-トングェは、ホロホロを自分たちのクランの一部(ムロンガ氏族)と捉えている。故地であるコンゴ民主共和国のホロホロとの会話もスワヒリ語によって行われていた。さらに、ザンビア国ではタンガニイカ湖畔のンプルングにて、言語使用調査および主要民族言語であるルング語動詞の予備調査を行った。
3月には、タンザニアのカトゥマ村にてベンデ-トングェ語の追跡調査、およびブルンジのブジュンブラ、ルモンゲ、ニャンザ・ラックの3地点において言語使用調査を実施した。
26年度の調査では、当初、研究対象としていた7言語に加えて、新たにベンベ語を調査対象とした。その理由は、この地域の話者数が多く(Ethnologue 18th Editionでは252,000人とされる、コンゴ民主共和国が故地)、タンザニアでも協力者が得られたこと、民族コミュニティーの結束が極めて強く、またそれにより言語の保存状態がよく、新たな記述研究(David Iorio氏、イギリスのUniversity of Newcastleに2015年2月博士論文提出 "Subject and Object Marking in Bembe")も発表されたことがあげられる。

Strategy for Future Research Activity

27年度の実施計画は(1)ターブワ語調査、(2)ベンベ語調査、(3)タンガニイカ湖周辺に広がる「スワヒリ文化圏」とスワヒリ語の調査、(4)ベンデ-トングェ語資料のWeb化、の4点。(1)、(2)については現地調査(タンザニアのキゴマ町、カレマ村が候補地)を実施する。これらの言語資料は圧倒的に少ないため、各言語、2週間以上の調査が必要である。
ターブワ語は、ベンデ-トングェ語と言語的・文化的に多くの共通点が認められる。両言語の言語学的比較とともに、文化的な相互「乗り入れ」(民話・伝承等)の調査を行う。具体的には1907年刊のターブワ語辞書(約100年前のターブワ語の記録)があるが、27度前半にその辞書をデータベース化し、ベンデ-トングェ語との比較。それを現ターブワ語と比較する。
ベンベ語は、これまで報告のある湖畔のいずれの言語ともほとんど類似点が見いだせていない。これは語彙的にも文法的にもそうである。大移動をしたという伝承もあるが、追加調査を行い、系統関係解明のための資料を蓄積する。
また、タンザニア・ザンビア・ブルンジのタンガニイカ湖周辺の共通特徴であるスワヒリ語について調査を進める。ここが19世紀の奴隷貿易ルートの中継地であった、共通語としてのスワヒリ語が発達したのである。特にイスラム化した集団・地域でのスワヒリ語化が著しく、今日まで「スワヒリ文化圏」の意識が強い。ブルンジでは「コンゴ民主共和国から来た人=スワヒリ語話者」という認識もある。このスワヒリ語圏について、さらにコンゴ民での調査が必要であるが、内戦・感染症の発生などにより渡航は以前困難である。情報収集をしつつ、渡航の可能性を検討したい。
また国内では、ベンデ語資料のWeb化を行う。26年度にベンデ語の成果還元としてベンデ語テキストブックを完成させたが、27年度は音声・ビデオ資料を追加したWeb版を完成させる。

  • Research Products

    (5 results)

All 2015 2014

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Presentation (3 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] Persistive in Bende --- On the grammaticalization path ---2015

    • Author(s)
      ABE, Yuko
    • Journal Title

      アジア・アフリカの言語と言語学 (Asian and African languages and linguistics)

      Volume: 9 Pages: 23-44

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Presentation] Motion expression patterns in African languages2015

    • Author(s)
      KAWACHI, Kazuhiro, Yuko Abe, Osamu Hieda, Kyoko Koga, Junko Komori, Nobuko Yoneda, and Hiroshi Yoshino
    • Organizer
      NINJAL International Symposium Typology and Cognition in Motion Event Description
    • Place of Presentation
      国立国語研究所
    • Year and Date
      2015-01-25
  • [Presentation] ベンデ語(タンザニア、バントゥ)の持続相標示si-/sya-2014

    • Author(s)
      阿部優子
    • Organizer
      日本言語学会第148回大会
    • Place of Presentation
      法政大学
    • Year and Date
      2014-06-07
  • [Presentation] Persistiveアスペクトから見たベンデ語の辿った道2014

    • Author(s)
      阿部優子
    • Organizer
      第51回日本アフリカ学会研究発表会
    • Place of Presentation
      京都大学
    • Year and Date
      2014-05-25
  • [Book] Tusahule Sibhende (Tuongee Kibende)2015

    • Author(s)
      MASHAKA, Yasini, Hamisi Kaboko, and Yuko Abe
    • Total Pages
      68
    • Publisher
      ILCAA, Tokyo University of Foreign Studies

URL: 

Published: 2016-05-27  

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