2016 Fiscal Year Research-status Report
社会文化理論を用いた第二言語学術リテラシーの発達と異文化能力習得過程の研究
Project/Area Number |
26370482
|
Research Institution | Kanazawa University |
Principal Investigator |
根本 浩行 金沢大学, 国際基幹教育院, 教授 (40452099)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 社会文化理論 / 学術リテラシー / 異文化能力 / アイデンティティ / 海外留学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、短期留学プログラムを経て一年間派遣留学をした日本人学生の第二言語学術リテラシーと異文化能力の発達過程を調査するとともに、留学後の学業への取り組みやキャリア形成に関しても検証を進めている。平成28年度は四年間の当該研究の三年目となり、短期留学を経て一年間の派遣留学に挑み、帰国した学生を対象にケーススタディを実施し、平成26、27年度に短期留学プログラム参加者と派遣留学生より収集したデータと照らし合わせながら、異文化適応経験が学術能力の促進とキャリア形成に及ぼす影響を分析した。特に、アンケート、ダイアリースタディ、フォローアップインタビューを用いて留学先で培ったリテラシーと異文化能力をどのように卒業研究や就職活動に応用するかを調査するとともに、英語使用者および母語話者としてのアイデンティティ変容に関する考察を行った。 また、平成26年度のパイロットスタディを発展させ、短期および長期留学を経験し大学を卒業した新社会人の社会適応過程を調査するケーススタディを実施し、異文化場面で培われた能力がキャリア形成に及ぼす影響を検証した。その分析結果の一部をヨーロッパ第二言語習得学会とオーストラリア応用言語学会で発表することで国内外の応用言語学者と意見交換を行い、研究内容の妥当性を確認し、理論的考察の進化に努めた。これらの研究活動を通して、リテラシー・異文化能力の促進とキャリア形成の相関性を検証し、四年間一貫した体系的リテラシー教育の在り方を考察する糸口を掴んだ。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
派遣留学から帰国した学生のケーススタディを予定通り実施した。また、学会発表を通し研究枠組み、研究方法論および研究結果の妥当性を確認することができたため、3年目を終えた時点で概ね順調に進んでいると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
研究結果に基づきプロジェクト型短期留学プログラム、派遣留学システム、帰国後のキャリア形成教育の体系化に努める。また、国際学会でこれまでのデータをまとめた研究結果を発表するとともに、国際的学術誌に論文を投稿すべく執筆を進める。
|