2014 Fiscal Year Research-status Report
現代日本語と韓国語における条件表現の対照研究―語用論的連続性を中心に―
Project/Area Number |
26370489
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
金 智賢 宮崎大学, 語学教育センター, 准教授 (40612388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 猛 滋賀県立大学, 人間文化学部, 准教授 (60311015)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語学 / 対照研究 / 条件表現 / 語用論 / 韓国語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代日本語の条件表現における連続性のメカニズムを、語用論の枠組みと、韓国語との対照研究という二つのアプローチから解明しようとするものである。本研究は、3年間で、日韓の条件表現における語用論的連続性を体系化するという研究目的を達成するため、順次、仮定的条件と前提的条件の連続性、前提的条件と主題の連続性、仮定的条件と継起の連続性、継起と理由表現の連続性、日本語の‘ト’と韓国語の対照、韓国語の‘ya’と日本語との対照といった各テーマを取り上げた個別研究を段階的に重ねていく計画の元で、1年目の平成26年度は、仮定的条件と前提的条件の連続性について議論をまとめ日本言語学会で発表した。本発表では、仮定的条件(「ば」「myeon」)と前提的条件(「なら」「damyeon」)を取り上げ対照分析することで、両条件の語用論的連続性において日韓で違いがあることを明らかにすると同時に、本発表で定義する概念や述語で各条件形式の意味用法を再考察した。語用論的連続性とは、二つ以上の形式が同じ条件表現に用いられ得ることを指す。発表では、日韓で語用論的連続性の違いを生み出すのは、各形式において、話し手が自分の知識世界の中の情報を強い因果関係で結びつける「仮定性」と、条件節の命題を他所から得られた情報として提示する「前提性」の程度に違いがあるためであることを明らかにした。本発表では、「前提性」という用語の使い方をはじめ参加者からたくさんの有益な指摘や課題を得ている。 現在は、次の研究テーマである前提的条件と主題の連続性について、分担者との理論的な打ち合わせを行いながらコーパスの分析を行っている。なお、研究成果の発信の場としてホームページを作成する計画があったが、現在9割完成の状態で5月下旬に一般公開の予定にある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究は、3年間で、日韓の条件表現における語用論的連続性を体系化するという研究目的を達成するため、順次、仮定的条件と前提的条件の連続性、前提的条件と主題の連続性、仮定的条件と継起の連続性、継起と理由表現の連続性、日本語の‘ト’と韓国語の対照、韓国語の‘ya’と日本語との対照といった各テーマを取り上げた個別研究を段階的に重ねていく計画である。1年間で二つのテーマをまとめるというペースであるが、第1テーマの仮定的条件と前提的条件の連続性についてまとめ発表を行った結果、今後の研究の方向性と用語の使い方などに修正の必要性が出てきた。本研究は一つ一つのテーマが有機的につながっており、概念や用語などは統一的に使われなければ、全体の研究にも影響を与えてしまう。そのため、第1テーマの発表後得られた様々な指摘をもとに、時間をかけ、分担者との打ち合わせを経て研究の方向性の修正、用語の再整備などを新たに行ったため、やや遅れている。
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Strategy for Future Research Activity |
1年目の達成度はやや遅れているが、研究の方向性修正や用語の再整備などは5月現在終わっているので、今後は計画通り進むことができると考えられる。 第1テーマの仮定的条件と前提的条件の連続性についてまとまったところで、今年度は第2,3のテーマの前提的条件と主題の連続性、仮定的条件と継起の連続性について順次まとめていく予定である。第1テーマについては、学会誌に投稿する予定である。現在、その執筆と共に、第2のテーマをまとめるために、日韓のコーパスの分析を行っている。2年目の今年度は、第4テーマの継起と理由表現の連続性まである程度の概要をまとめ上げ、日本と韓国の学会で発表し、学会誌にも投稿する予定である。最終年度の来年度は、日本語の‘ト’と韓国語の対照、韓国語の‘ya’と日本語との対照といった個別的な研究を行う。さらに、それまでの研究成果を日本や韓国における学会で発表及びインターネットホームページにて公開、出版することで、社会に発信する。
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Causes of Carryover |
初年度の計画で研究用ホームページ制作の計画があり、制作会社のスケジュールの上で3月の納品だったので、その額を今年度の予算で残していたが、ホームページ制作会社の都合で予定の遅れが生じ3月に納品できず、納期が次年度に延びてしまったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究用ホームページは現在9割完成の状況にあり、今年度の5月下旬に納品予定であるため、次年度使用額はホームページ制作費用(12~15万円)として使用する予定である。
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Remarks |
研究代表者の研究成果、教育活動、学会や文献情報などを公開するホームページである。現在9割完成しており、平成27年5月下旬にオープン予定である。
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Research Products
(2 results)