2016 Fiscal Year Research-status Report
現代日本語と韓国語における条件表現の対照研究―語用論的連続性を中心に―
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26370489
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
金 智賢 宮崎大学, 語学教育センター, 准教授 (40612388)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
小熊 猛 滋賀県立大学, 人間文化学部, 教授 (60311015)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 言語学 / 対照研究 / 条件表現 / 語用論 / 韓国語 / 日本語 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、現代日本語の条件表現における連続性のメカニズムを、語用論の枠組みと、韓国語との対照研究という二つのアプローチから解明しようとするものである。日韓の条件表現における語用論的連続性を体系化するという研究目的を達成するため、順次、仮定的条件と前提的条件の連続性、前提的条件と主題の連続性、仮定的条件と継起の連続性、継起と理由表現の連続性、日本語の「ト」と韓国語の対照、韓国語の「eoya」と日本語との対照といった各テーマを取り上げた個別研究を段階的行うことが目標である。 平成28年度は、日本語の「ト」と韓国語の対照、韓国語の「eoya」と日本語との対照分析をまとめ、それぞれ韓国日語日文学会、朝鮮語教育学会・朝鮮語研究会合同大会で発表した。さらに、譲歩条件の逆説性についての対照分析と、条件的用法としての「テハ」と対応表現の「eoseoneun」の対照分析を行い、それぞれ韓国日本言語文化学会、韓国日語日文学会で発表した。日本語の「ト」と韓国語の対照分析では、本研究で積み上げてきた枠組みを選択的に取り上げながら、「ト」に関する独自の説明を試みた。「ト」は仮定的条件としては不完全な形式であること、「nikka」や「タラ」などとは異なる単純継起を表すことを韓国語との対照分析から明らかにした。韓国語の「eoya」と日本語との対照分析では、「eoya」の有する必須条件の範疇や定義をまとめながら、普遍的な条件の特徴について考察した。この過程で、譲歩条件の重要性が高まったため、譲歩条件の逆説性に焦点を当てた追加研究を行った。日韓の譲歩条件における逆説性は、様々な意味要素によってより細かく分析できることを確認した。最後に、当初計画になかった「ては」条件についても分析を行った。様々な用法を分類・分析を通じて「テハ」条件の特徴を明らかにし、韓国語の対応形式に比べ、文法化が進んでいることも確認した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
本研究は、3年間で、日韓の条件表現における語用論的連続性を体系化するという研究目的を達成するため、順次、仮定的条件と前提的条件の連続性、前提的条件と主題の連続性、仮定的条件と継起の連続性、継起と理由表現の連続性、日本語の「ト」と韓国語の対照、韓国語の「eoya」と日本語との対照といった各テーマを取り上げた個別研究を段階的に重ねていく計画である。3年目の平成28年度は、日本語の「ト」と韓国語の対照、韓国語の「eoya」と日本語との対照研究の二つの課題をまとめることが目標だったが、それぞれのテーマを成功的にまとめた上で、当初の計画になかった、譲歩条件の逆説性に関する分析や、条件的用法としての「テハ」と「eoseoneun」の対照分析まで進めることができたので、当初の計画以上に進展していると言うことができる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成29年度は、延長年度に当たる。3年間研究の大枠や各テーマのまとめが順調に進み、これまで学会等で発表した研究成果の公開のための出版に向けて作業が進んでいる。校正等で時間がかかるため、研究期間を延長している。今後数回の校正等を経て、平成29年中に刊行される予定である。
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Causes of Carryover |
研究成果の公開のため、3年間学会などで発表した論文を加筆・修正したものを出版するに当たり、出版まで数か月かかることから、研究期間内に成果物である本を出すために研究期間を延長している。次年度使用額は、出版費用として計上していた金額が、延長年度まで繰り越されることによって生じている。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
研究成果物である本の出版費用として使用する。
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Research Products
(5 results)