2015 Fiscal Year Research-status Report
仏語圏アフリカ諸国におけるアフリカ諸言語の書記言語としての発展状況に関する研究
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26370495
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Research Institution | Prefectural University of Kumamoto |
Principal Investigator |
砂野 幸稔 熊本県立大学, 文学部, 教授 (60187797)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 旧フランス領アフリカ諸国 / アフリカ諸言語 / 書記言語 / セネガル / カメルーン / ウォロフ語 / web |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度に引き続き旧フランス領アフリカ諸国の言語政策、教育政策等に関する文献研究を継続し、とくにこれまで十分な資料を得ていなかったカメルーンについて資料を収集した。カメルーンでは英語、フランス語の二公用語政策のもとで、書記言語としてはこれら二つの言語が圧倒的な位置を占め、口頭言語としては北部のフルフルデ語、南部のエウォンド語、ピジン英語などが比較的広範に共通語として用いられているが、書記言語としての使用は識字テキストなどを除いてほとんど見られない。 web上での書記言語としての使用についても調査を試みた。いくつかの言語については、それぞれの言語の正書法を用いたwebsiteや、チャットの存在を確認できた。とくに活発なのはウォロフ語で、少なくとも数十のウォロフ語サイトを確認した。そのうちのいくつかは毎日更新されるニュースサイトなど、非常に活発な活動を行っている。フルフルデ語、バンバラ語についても複数のサイトを確認し、ソニンケ語についても確認できたが、更新の状況を見る限り、ウォロフ語サイトに比べると活発さは劣るように見える。 三月にはセネガルを訪れ、研究協力者のママドゥ・シセ教授からセネガルにおける過去数年の動きについての情報を得るとともに、首都ダカールにおける街頭の看板等における使用言語についても調査を行った。前回の調査の際は、大統領選挙のポスター類や商業広告において、正書法で書かれたウォロフ語が多用されており、ウォロフ語をはじめとする「国語」の書記言語としての使用が広まりつつあるかのような印象があったが、今回の観察では、そうしたポスター、広告はほとんど見られず、ときおり見かけるものもフランス語風綴りによるものだった。実際、前大統領のアブドゥライ・ワッドが掲げた「国語」振興は、現大統領マッキー・サル政権のもとでは、少なくとも政府による政策としてはもはや重視されていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
マリ、モーリタニアについては現在も治安状況などのために現地調査は見合わせざるを得なかったが、カメルーンについては文献資料等を通じて概ね状況把握が行え、セネガルについては四年ぶりの現地調査を行うことができた。また、web上での書記言語としての使用についても、ある程度の見通しを持つことができた。
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Strategy for Future Research Activity |
マリ、モーリタニア、カメルーンについては、首都圏以外での調査の予定が立てられない状況が続いているが、現地研究者とのメール等による連絡を通じて状況を判断し、必要な情報をさまざまな形で獲得する予定である。セネガルについては、識字後の取り組みについての調査、ウォロフ語作家、ウォロフ語サイトの運営者等へのインタビューを予定している。
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Causes of Carryover |
当初計画では3週間程度を予定していた現地調査を大学業務のために1週間強に短縮したため、旅費が当初予定を下回った。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
文献資料の購入、調査旅費、学会等発表旅費および研究協力者への謝金として使用予定。
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