2016 Fiscal Year Research-status Report
グローバル化社会で変容するアイデンティティーと言語変異の因果関係の理論モデル構築
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26370496
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Research Institution | Hokusei Gakuen University |
Principal Investigator |
高野 照司 北星学園大学, 文学部, 教授 (00285503)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | アイデンティティー / スタイル / 言語態度 / グローバル化 / 言語変異 / 言語変化 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度(28年度)は、前年度に作成を完了した話者の文化的自己観(アイデンティティー)、土着志向性、共通語や地域方言に対する質問紙による顕在的言語態度とバーバルガイズ方式による潜在的言語態度を調査するための調査票を用いた実地調査を開始した。一昨年度までに調査が完了していた18名のニセコ町住民に再度接触し、上記の各種調査票を用いた再調査を行った。その際、追加調査として、昨年度までに別プロジェクトで調査を完了していた札幌市方言の語彙アクセントの共通語化調査の際に用いた調査票を改良して、上記18名のニセコ被験者より名詞アクセント音声を収集、および自然談話音声も追加で収集することができた。 研究成果としては、自然談話音声の中から特にカ行子音の有声化を従属変数として、言語内的要因、話題の種類、グローバル化に対する土着イデオロギー等を独立変数とした多変量解析を行い、急激な社会変化に対して住民が持つ土着イデオロギーの種類によって、話す話題がカ行子音の有声化に異なった影響力を及ぼすというスタイル的変異が明らかになった。この成果は、2016年6月にムルシア大学(スペイン)で開催されたSociolinguistics Symposium 21において口頭発表を行った。 その後、年度末までには、上記の各種アンケート調査の結果を加味した多変量解析のための準備作業を開始した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度の後半にかけて病気を患い、外科手術と入院のため、年度当初予定していた実地調査の遂行に著しく遅延が生じた。1年間の補助事業期間延長願いを提出し承認済みである。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度(28年度)当初に計画していた実地調査の円滑な遂行と分析作業を積極的に行い、論文または学会発表等のかたちで研究成果の公表を目指す。また、本年度の前半に行った実地調査では、ニセコ町住民とのネットワークがさらに拡張したので、29年度はさらに新規での被験者の開拓も同時進行で行う。
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Causes of Carryover |
本年度後半にかけて入院と手術および術後のリハビリを含めて約2ヶ月程度の静養を要したため、年度当初の計画に著しい遅延が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
繰り越し額は、主に実地調査に関わる経費(旅費、謝金等)とデータ処理の補助者に対するアルバイト料での支出を予定している。
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Research Products
(1 results)