2015 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
26370507
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
劉 穎 成城大学, 文芸学部, 教授 (10307118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女書歌 / 原生態女書伝承者 / 吟唱 / メロディ / リズム / 対応楽音 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度の研究は引き続き現地調査を行い、新たに女書歌の資料を収集するとともに、今まで整理分析、さらに考察したものを確認及び立証していくことを重視し、以下のように進めた。 H27年度に現地調査を2回行った。1回目はH27年9月6日~9月15日(10日間)、実施先は北京と江永県であった。北京では主に図書館や研究機関などにて女書研究関連資料の収集と首都師範大学吟唱研究センターの研究関係者との意見交換を行った。江永県では、県政府が主催した女書文字ワークショップに参加し、出席者との交流を図り、さらに県政府の要請に応じて、ISOに提出する「女書文字リスト」の修正と注音に協力した。また、準原生態女書伝承者何艶新と何静華に、女書歌のメロディのゆれのある箇所を確認したり、新しい女書歌を収集したりした。2回目はH27年12月25日~H28年1月6日(13日間)、実施先は北京と江永県であった。北京では引き続き女書研究関係資料の収集をし、さらに現地調査で収集した女書歌の方言の発音や吟唱のメロディとリズムについて、江永方言専門家黄雪貞氏と伝統読書方式である吟唱に詳しい朱立侠氏と意見交換をした。 H27年12月に「陽煥宜の女書歌のメロディとリズム」というタイトルで『成城文藝』第233・234合併号に論文を発表した。本論文では、故原生態女書伝承者陽煥宜の歌のメロディとリズムを、健在である準原生態伝承者何艶新と若年伝承者のメロディとリズムとを比較考察し、陽のメロディ、特にリズムは何艶新とほぼ一致している結論を出した。この研究成果により、いま健在の準原生態女書伝承者何艶新のメロディとリズムが伝統女書の歌い方だとみなすことができ、今後の女書歌吟唱の変容を探ることにも大いに役立つであろう。 ただし、研究計画にあった女書流行地域周辺の謡族自治県で女書文化との関連調査はできなかった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
調査経費が不十分だったためである。
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Strategy for Future Research Activity |
H28年には、これまでの研究成果に基づき、以下の研究を行う予定である。 1)これまで収集したデータ及び収録した新しい女書歌の分析と考察をし、その結果をもって、これまでの研究成果を再確認する。 2)これまでの全面的な考察と研究分析により、女書歌の音声表現形式(文体と押韻特徴、吟唱のメロディとリズムなど)の特徴を明らかにし、論文にまとめて発表する。 3)江永県上江墟鎮女書文化流行地域に混住している瑤族の“対歌”(かけ歌)と“蘭渓瑤郷”の“歌堂”の歌のメロディについて調査し、女書文化との関連がないかを考察する。 ただし、本研究申請時に予定した「女書歌に使われる江永方言の使用状況及び方言官話化と女書文化伝承との関係を探る」計画には、調査人力と資金が不足しているため、至ることができないと考えられる。しかし、それは女書文化の伝承と保存にはとても重要な課題なので、ぜひとも明らかにしていきたいと考えている。
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Research Products
(1 results)