2016 Fiscal Year Annual Research Report
Study on the sound representation of Nushu
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26370507
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Research Institution | Seijo University |
Principal Investigator |
劉 穎 成城大学, 文芸学部, 教授 (10307118)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 女書歌 / 吟唱 / メロディ / リズム / 音声表現形式 / 女書伝承者 / 楽音 / 声調 |
Outline of Annual Research Achievements |
H28年度は引き続き現地調査を行い、新たな女書歌の収集、整理、分析と考察により、これまでの成果を確認した上に女書歌の吟唱の変容を明らかにした。 ●現地調査 2回行った。1回目は2016年12月22日~2017年1月10日、実施先は北京と江永県。北京では首都師範大学吟唱研究センターの諸研究者と女書方言研究者黄雪貞氏等との意見交換、国家図書館や関係研究機関にて関連資料の収集。江永県では、女書伝承者何艶新を取材し、女書歌メロディのゆれのある箇所の確認と新しい歌の収集。国家級伝承者何静華は、病気のため以前の音声資料中にみられた問題箇所の確認のみ行った。2回目は2017年3月8日~3月13日。実施先は上海と南京。上海では清朝末期漢詩吟誦研究代表者唐文治の弟子蕭善郷と上海交通大学漢詩吟唱研究者陳以鴻等を尋ね、漢詩吟誦と女書歌吟唱との相違点、南京では詩吟研究代表者陳少松を尋ね、詩吟の理論研究と女書歌の吟唱の研究について意見交換をした。 ●口頭発表と論文発表 2016年6月19日に東京学芸大学小金井キャンパスで開催された<日中人文社会科学学会第14回研究発表大会>にて「女書文化の変容とその要因」の題で口頭発表。女性の心声を吟唱で表すプライベートの歌が舞台で演じる歌に変容しつつある実態と要因を探り、消えつつある女書音声の研究をより切羽詰っていると指摘した。同年12月に「中国国家級女書伝承者何静華とその吟唱の特徴」の題で『成城文藝』第237・238合併号に論文発表。何静華の女書伝承者としての位置づけと、その他伝承者の歌い方との比較を通じて何静華の歌い方の特徴を明らかにした。また、女書歌の講師を務める何静華の歌い方が現在の女書歌のメロディとリズムの模範型となり、今後の女書歌に影響をもたらす可能性があることを指摘した。この研究成果は、今後の女書歌の音声表現の変容における研究に大いに役立つものと考えている。
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Research Products
(2 results)