2014 Fiscal Year Research-status Report
外国語学習者のレキシコンの特性と音声言語の知覚・産出への影響に関する研究
Project/Area Number |
26370508
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Research Institution | Daito Bunka University |
Principal Investigator |
米山 聖子 大東文化大学, 外国語学部, 准教授 (60365856)
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Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
北原 真冬 早稲田大学, 法学学術院, 教授 (00343301)
田嶋 圭一 法政大学, 文学部, 教授 (70366821)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | レキシコン / 第二言語 / 音声知覚 / 音声産出 / 語彙近傍密度 / 語彙表示 / 音声コーパス調査 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、話し言葉における外国語学習者のレキシコンの特性が、音声産出や知覚にどのような影響を及ぼすのかに焦点を当て、知覚・産出実験、文献調査、および音声コーパスの調査によって、その実態とメカニズムを多角的な方法を用いて明らかにするものである。研究初年度は,以下の課題に取り組んだ。
(1)外国語学習者のレキシコンの特性(米山,Munson):母語においてレキシコンの特性として音声語彙認識に影響を及ぼしていると考えられている語彙近傍密度について、異なる英語力を持つ日本語母語話者を対象に実験を行った。その成果を論文として執筆中である。更に、語彙近傍密度については日本人大学生の産出実験の予備実験を行った。日本人大学生の語頭の/r/と/l/の英単語の音素認識については、米山・中村(2015)で発表した。 (2)レキシコンの特性と音声・音韻論的な検討(北原,米山):日本語と英語の音声データベースやコーパスを分析することにより、レキシコンの語彙音響特性について詳しく明らかにすることを試みた。その成果はKitahara, Tajima and Yoneyama (2014)、Tajima, Kitahara, and Yoneyama (2015a, 2015b)やTajima, Kitahara, and Yoneyama (2016)の基礎データとして活用された。 (3)レキシコンにおける語彙表示について(田嶋,米山):異なる英語力を持つ日本語話者の英語のレキシコンにおける語彙表示を明らかにするために、英語の音節数を数える実験を異なる英語力を持つ英語学習者(日本人大学生と現役英語教員)を対象とした実験を実施し、Yoneyama and Tajima (2016)で報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画初年度は、研究課題の遂行のために必要な設備備品やソフトウェアなどを準備すると同時に、以下の課題の研究材料の準備および予備実験を実施することであった。計画通りに研究は進んでいる。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究では次の3つの課題に取り組む:課題1「外国語学習者のレキシコンの特性」、課題2「レキシコンの特性と音声・音韻的な検討」、課題3「レキシコンにおける語彙表示について」。また、各課題について、研究期間を、(1)研究材料の準備および予備実験の実施、(2)本実験の実施および結果の分析、(3)成果の公表という3つのステップに分けて研究を進める。平成27年度以降は(2)と(3)のステップに順次移行する予定である。
平成27年度:予備実験を元に本実験を行うことと(課題1・課題3)、音声コーパスの調査から得られた結果についての学会発表(課題2)を計画第2年度の柱とする。前者は主に研究代表者が研究協力者の協力を得ながら課題1の本実験を行い、課題3については研究分担者(田嶋)と研究代表者が担当し、研究分担者(田嶋)の協力を得て統計解析を行う。そのため、研究参加者と研究補助者への謝金を予算に計上した。米国で実施する本実験のための旅費も予算として計上した。後者は研究代表者と研究分担者(北原)がとりまとめ、日本音響学会、日本音声学会、日本音韻論学会などの例会および大会にて発表する。そのための旅費も予算として計上した。
平成28年度:本実験の結果の解析を進めつつ、妥当な範囲で切り分けることで、順次国際学会での発表につなげていくこと、および内外のジャーナルへの投稿論文を準備することを計画最終年度の柱とする。妥当な範囲とは、例えば、比較的解析に時間がかからない知覚実験部分を先にまとめ、産出実験やトレーニングの効果については年度の後半の発表を目指すことである。また、研究組織を構成する全員が、米国の大学院でPhDを修了しており、アメリカ音響学会、実験音韻論学会、国際音声学会議などでの発表経験を持つ。したがって主要な国際学会において採択される可能性は十分に高い。そのため国外への旅費を予算として計上した。
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Causes of Carryover |
研究補助員雇用が予想よりも少なかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
被験者への謝金と研究補助員雇用に充てる。
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