2015 Fiscal Year Research-status Report
欧文資料Notitia Linguae Sinicaeによる清代中国語研究
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26370509
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
千葉 謙悟 中央大学, 経済学部, 准教授 (70386564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 中国語学 / 官話 / 欧文資料 / Notitia Linguae Sinicae / Premare |
Outline of Annual Research Achievements |
研究実施計画に従い、平成27年度はNotita Linguae Sinicae(以下NLSと略称)の訳注作業を中心に研究を進めた。訳注作業の成果は2度にわたって『或問』誌上に連載されている。すなわちNLSの第二部文語篇冒頭から第二章第四節「分詞「於」yu あるいは「于」yu が全く同義であることについて」までが第27号に、第二章第五節から第十五節「時を表す小詞について」までが第28号に掲載された。この部分は第一部口語篇では取り上げられなかった文言の虚詞を中心に解説したものである。用例は主に四書すなわち『論語』、『孟子』、『大学』、『中庸』から取っているが、プレマールの索隠派としての読書遍歴を反映して『荘子』も多く引用される。また欧陽修の諸作品からの引用も数多く見られ、一件のみだが漢訳「主の祈り」からの引用も見える。このように訳注作業により引用例の出典を明らかにすることは、プレマール個人の読書体験を知るための手がかりとなるのみならず、彼が築こうとした中国語文言文法の枠組みを解明する上でも重要な情報を提供することになろう。この訳注作業により、英訳版が削除・追加・異なる解釈をした部分も明らかになっており、今後のNLS研究のための基礎的研究を継続したい。 文語篇訳注の第三回については平成27年度中に第二章第十六節からの分を作成しており、平成28年度中に同じく『或問』誌上に掲載される予定である。平成28年度は研究計画の最終年度となるが、引き続き訳注作業を継続しNLSの全容を広く紹介したい。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
研究計画は当初の予定をやや上回るペースで進展していると言ってよい。 その理由は、研究計画に記載した訳注作業を順調に進めることができたからである。平成27年度はNotita Linguae Sinicaeの訳注作業を中心に研究を進めることとしていたが、訳注作業の成果は2度にわたって『或問』誌上に連載することができた。 加えて前年度の報告書に記載したとおり、平成26年度の研究成果は27-28年度の計画を先取りするものであった。従って現在のところ研究計画よりもやや早いペースで進捗していると判断することができる。平成28年度は研究計画の最終年度ではあり、NLSの音系について検討すべき時期である。これについては今年度末に行った学会発表にて触れたが、これをより深化させた形で成果としたい。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度はNotita Linguae Sinicaeの音系分析を中心に研究を進める。すでにNLS序論に見える音節の一覧表についての分析はなされているが、本文に見えるローマ字標音から帰納される音系は一覧表のそれとはわずかに異なるように見える。今後の研究においてはその差異を分析し、なぜ一覧表と本文でそのような差異が生じたのかについても考察したい。
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Causes of Carryover |
所属機関の規定により旅費を使用することができなかったため
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在滞米中のため、主としてこちらに所蔵される貴重資料の複製代に使用する
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Research Products
(4 results)