2016 Fiscal Year Research-status Report
欧文資料Notitia Linguae Sinicaeによる清代中国語研究
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26370509
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Research Institution | Chuo University |
Principal Investigator |
千葉 謙悟 中央大学, 経済学部, 准教授 (70386564)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 中国語学 / 官話 / 欧文資料 / Notitia Linguae Sinicae / Premare |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度の研究成果は二つある。第一に、19世紀に来華したプロテスタント宣教師たちの中国語研究の中でも白眉と言える、エドキンスによる官話文法の専著A Grammar of the Chinese Colloquial Language, commonly called the Mandarin dialect (1857)および上海語文法書A Grammar of Colloquial Chinese, as Exhibited in the Shanghai Dialect. (1853)に到る道筋にプレマールがいることを指摘した。エドキンスの文法書はプレマールを越えることを意図して書かれたと言っても過言ではない。 第二に、2015年度に引き続きNotitia Linguae Sinicae第二部(Pars Secunda)の訳注に注力した。訳注を公開した範囲は第二章第十六節「意味を強める小詞について」から第三章第二節「一般的な規則が文体に従って与えられる」までである。ここにいたってプレマールの注記は単なる小詞の用法を離れ、修辞の方面へと発展していく。特にラテン語の音節の軽重に基づく韻文の格律と中国の韻文における平仄とを比較する箇所は重要である。なぜなら、ここではホラティウスが比較のために引用されるが、ここで用いられた音節の軽重を示す記号は、おそらく宣教師たちが中国語ローマ字において声調表示のために考案された記号の来源であったと考えられるからである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初予定していた3年間の研究により、Notitiaそのものの分析も、中国語学史上における価値も示すことができたと考えられる。さらに1年間の延長が認められたことにより、もとより大作であるNotitiaの訳注作業をさらに進めることができるようになった。これは当初計画にはなかったことであり、予想以上の進展を見せているゆえんでもある。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、Notitia Linguae Sinicae第二部(Pars Secunda)の訳注に注力したい。これまで訳注を公開した範囲は第二部第三章第二節「一般的な規則が文体に従って与えられる」までである。ここにいたってプレマールの注記は単なる小詞の用法を離れ、修辞の方面へと発展していく。修辞面の説明のため頻繁にラテン語の文学作品が引用され、翻訳の難度が上昇する。箇所によっては英訳本も翻訳していない部分があるほどである。しかしその分、訳注の価値が高まるであろう事を期待する。
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Causes of Carryover |
当初計画では旅費を計上していたが、中央大学より2015年度在外研究を命ぜられたことにより旅費支出が一切不可能となったため(学内規定による)。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
関連図書の購入に充てる。
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Research Products
(2 results)