2015 Fiscal Year Research-status Report
西洋資料の外国語としての視点からアプローチする近代“官話”の総合的研究
Project/Area Number |
26370513
|
Research Institution | Aichi University |
Principal Investigator |
塩山 正純 愛知大学, 国際コミュニケーション学部, 教授 (10329592)
|
Co-Investigator(Kenkyū-buntansha) |
朱 鳳 京都ノートルダム女子大学, 人間文化学部, 教授 (00388068)
|
Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
|
Keywords | 官話 / 近代欧米人 / 外国語としての中国語理解 / 官話訳聖書 / 官話教科書 / 漢語と欧米諸語の字典 / 漢訳聖書 / 異文化翻訳 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度(2年目)については、代表者(塩山正純)と分担者(朱鳳)が主に1年目のポルトガル現地調査(関西大学外国語学部教授・奥村佳代子氏との共同調査)にて収集した官話会話課本その他の資料と、期間中に随時収集した資料を整理し、以下の3方面について分析・考察し、その成果の一部を論文・口頭報告のかたちでそれぞれ発表した。 (1)官話課本・英華・華英字典を資料とする分析 まず、19世紀の英語と中国語を対象とするテキスト、字典類における官話に関する記述を抽出・分析し当時の(近代における)外国人の目から見た官話像の考察と再現を試みた。さらに、ゴンサルベスの会話稿本を資料として同書での官話の文法記述の特徴に関する考察を行った。 (2)漢訳聖書を資料とする分析 西洋諸語を原語とする聖書語彙の中国語への異文化翻訳について特に音訳語を対象として考察した。 (3)官話・漢語の周縁に関連する資料の分析 西洋の文化を中国語で理解するために官話によって執筆・編纂された書物(料理解説書)を資料として、語学学習・研究を目的としない周縁文献における官話の文体的特徴と訳語の創出と定着に関する考察を行った。 また、28年3月にはオックスフォード大学図書館、大英図書館、ライデン大学図書館にて資料調査を行い、幾つかの資料を収集した。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
27年度については、前年度(26年度)の現地調査にて収集した資料について、メンバー間で写真PDFデータを共有し、順次整理・分析をすすめて、一部ではあるが口頭報告として成果をまとめることができた。またその他の資料についても、同じく可能な限り共有し、各自の視点(「訳語」「官話」をキーワードとして)から資料を扱って考察をすすめ、幾つかの具体的な成果として公表することができた。個別の事項については、上記実績と業績に記述する通りである。また、前年度に5種の版本を収集したエドキンズのテキストについて分析・考察を進め、その成果の一部を、28年5月(予定)の国際シンポジウムで発表予定であり、継続的にさらに詳細に考察する予定である。
|
Strategy for Future Research Activity |
28年度についても、常時可能な所属先・ウェブ上での調査・収集にくわえて、引き続き国内外での資料調査・収集を行い、とくに近代の「官話」に関連するであろう資料群をさらに充実させ、メンバー間(および関連分野を研究する協力関係にある者)で共有する。そのうちの代表的な資料数点も含めて、収集した資料を字典・テキスト・周縁資料の3方面からさらに分析・考察をすすめていく予定である。
|
Causes of Carryover |
現地調査先(オックスフォード大学図書館、大英図書館、ライデン大学図書館)での資料収集においてデジタルカメラ(フラッシュ不使用を条件として)による撮影収集が許可されたことにより資料費が掛からなかったことと、データ入力については版本・稿本資料の繁体字・異体字を判読して入力することが可能な者に依頼することが出来ず自力でこの作業を行ったために費用が発生しなかったことによる。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
資料に係る費用については、多寡を予想しづらい面があるが、適宜有効に使用する。また入力作業については、代表者・分担者の負担を軽減して分析・考察に時間を有効利用するためにも、研究協力者に一部を依頼することを検討している。
|
Research Products
(7 results)