2015 Fiscal Year Research-status Report
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26370515
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
村杉 恵子 (斎藤恵子) 南山大学, 外国語学部, 教授 (00239518)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 生成文法 / 主節不定詞 / 時制 / 恣意性 / 二語文 / 擬態語 / WH疑問文 |
Outline of Annual Research Achievements |
2015年度は、幼児の言語獲得において、時制句が『刈り取られている』(RizziによるTruncation Hypothesis)と考えられる主節不定詞現象が観察される時期に、幼児言語には他にどのような特徴が見られるのかについて、擬態語や擬声語の動詞としての特徴、ムード句との関連、さらに二語文期の他の特徴について理論的実証的に検討した。とくに、WH疑問文の発達段階を精査することにより、主節不定詞現象とはどのようなもので、なぜそれがおきるのかについて検討した。論文執筆としては、上記の内容を発表し、また、完成年度にむけて新たな論文をまとめはじめている。たとえば、擬態語や擬声語が主節不定詞として用いられることを示す論文を以下の書籍の1章として出版する予定である。
Iwasaki, Noriko, Peter Sells and Kimi Akita (eds.) To appear. Grammar of Japanese Mimetics: Linguistic Analysis, Acquisition and Translation. London: Routledge.
2015年度には、口頭発表として、香港中文大学、ならびに台湾清華大学(招聘)で、また、英語学会のシンポジウム(招聘)において幼児の時制の特徴と統語的分析について、トークを行った。また、インフォーマルなトークとして、コネチカット大学において、幼児の擬態語や擬声語が手話の特徴と共通する点に注目し、幼児の初期の動詞と時制について発表した。また、この題材については、Diane Lillo-Martin, William Snyder, Mona Andersonなどとも個別に話し合いをもち、研究を深めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究は予定どおり順調に進展しており、加えて、英語学会シンポウムや海外のワークショップなどにおいてコメントをたくさんいただくことができたことは、本プロジェクトを推進するにあたり、大変に役立った。また、コネチカット大学においても、研究発表をさせていただく機会に恵まれ、同トピックについて別の言語で研究をしている院生や研究者から多くの示唆を得て、資料も交換することができた。 また、2015年は、論文執筆に多くの時間を費やし、研究成果の発信することのためにも努力した。来年度の完成年度にむけて、本研究を、論文としてまとめていく下準備はできていると思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究の推進方策としては、「時制」がいったいどのように幼児に「獲得」されるのか、その中間段階がなぜ世界の言語の獲得に共通して観察されるのかに焦点をあてて、大人の文法や方言を射程に入れて考えていきたい。また、上述したように、2016年度は、研究成果を論文として執筆し、発表することを主眼目標とし、また、この成果を、一般書、論文さらには書評などの形でも残していけるように、平明なことばでまとめていく努力を続けたい。最終年度にあたる2016年の12月には、以下の国立国語研究所の国際シンポジウムにて、招待講演者としてこの成果の一部を口頭で発表する予定である。
Ninjal International Symposium 2016 Mimetics in Japanese and other languages of the world
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Causes of Carryover |
本年度は、自身の基礎研究を進めるとともに、招聘を含む論文発表、ならびに論文執筆に多くの時間を費やしたため、謝金を支払ってのアルバイトによるデータ整理、ならびに物品費用は抑えた支出となった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
来年度も、より質の高い研究とその発表のために、謝金を活用していきたい。
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Research Products
(14 results)