2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370516
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Research Institution | Doshisha Women's College of Liberal Arts |
Principal Investigator |
服部 匡 同志社女子大学, 表象文化学部, 教授 (40228490)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | コーパス / 通時変化 / 帝国議会議事録 / 国会会議録 / 新聞記事データベース |
Outline of Annual Research Achievements |
1 新データの整備・利用試行 ウェブ上で公開されている日本外交文書・帝国議会議事録のデータのすべてをダウンロードし、OCR認識と認識結果の修正処理を行い、コーパスとして利用できるようにした。また、コピュラ表現などに関して試験的な利用を行い、本格的な研究利用可能性の見極めを行った。 2 格表示変化の研究 新聞記事データベースを用い、ほぼ同様な意味を表すのにニ格とヲ格の両方の用例のある動詞の洗い出しを行い、どちらかの格の使用が増加する傾向にある動詞を発見し、先に行った国会会議録での事実と対照分析した。さらに、意味的な面を考慮して用例の傾向を分析すると、変化には何種類かの型があることが分かった。 3 「可能性」の意味・統語パターン変化の研究 「可能性」という語については従来から研究しているが、今回は研究の対象を大正・昭和前期にまで広げ、神戸大学新聞記事文庫、および、明治以前の生まれの著者の全集類を利用した調査に基づいて、この語のとる統語パターンの上に生じた変化を3点発見した。そのような変化とこの語の意味的な特徴の変化との関連を分析した。また「可能」「不可能」についても、新たに利用可能になった帝国議会議事録を利用して、明治・大正期の用例傾向の分析を行い、明白な変化傾向を発見した。 4 大正期から現代までのデータを用い、漢語で形容動詞・名詞の両用法を持つものについて、その用法分布の変遷を分析するとともに、統語的に例外的な環境を分析した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
帝国議会議事録・日本外交文書のコーパスとしての利用のため整備を行い、神戸大学新聞記事文庫とあわせて用いることで、明治大正期にまで分析の対象を広げることが可能になった。これにより、従来から継続しているテーマに関してもより大きな観点からの分析が可能になり、また、当初は考えていなかった新たな研究テーマの開拓が可能になった。 方法的な面でも、格表示変化の現象について、意味を考慮することで型を整理する手法を開拓した。また、いわゆる品詞兼務の語(形容動詞・名詞)の性質の変遷に関して、新たな研究手法を模索している。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度は最終年度であり、少なくとも下記の研究成果の論文化を行う。 1 ニ格ヲ格の交替する動詞における格選択変化傾向の発見と変化要因の分析。 2 「可能性」「可能」の統語的性質と、それに対応した意味的性質の変化の分析。 下記のテーマに関してもにも可能な限り、研究成果の発表を目指す。 コピュラに関する変化。品詞兼務語の統語的性質の変化。
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Causes of Carryover |
消耗品購入において、予想よりやや安く購入できたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
消耗品費の一部として使用する。
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Research Products
(1 results)