2014 Fiscal Year Research-status Report
震災における広報誌の実態と課題:「広報」と「広聴」
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26370517
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
東 照二 立命館大学, 言語教育情報研究科, 教授 (50368023)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 言語学 / 社会言語学 / 広報 / 震災 / 持続可能社会 |
Outline of Annual Research Achievements |
データ収集として、東北各県にて街頭ポスターなどを写真撮影した。その数は約300枚近くにのぼった。文字によるものだけでなく、デザイン、イラスト、写真なども挿入されているものなど、多岐にわたる情報を得ることができた。また、関連する物品(震災に関する呼びかけ、注意喚起の文字などが記されたもの)も収集できた。さらに地域の図書館、集会場、役場などでの、広報物(市民だより)なども収集できた。また広報担当者との面談を通じて、その仕組み、課題などに関して聞き取りを行った。その中で、浮かび上がってきたは、多忙を極める広報担当者が直面する課題であった。一つは、いかに広報物の内容を充実させ、役所からの一方的な情報の伝達ということにならないようにするため、住民、読み手の参加、貢献、反映をどう生かしていくかということであった。また、さらには広報誌の作成そのものを外注にする場合の方向性、対応のしかたなどに関するものであった。 また、分析、関係する手順などについて、研究会(国立国語研究所主催など)にも参加し、研究者との情報、助言、アイデアなどを得ることもできたのは収穫であった。 さらに、分析結果の一部(進行中ではあるが)を、国際会議等で発表し、研究者との情報交換を勧めることができた。特に、記号学という分野、視点からの考察、発展について、貴重な示唆を得ることができたのは大きな成果であった。また、海外の学会での発表ということもあり、アジア、欧米からの新たな視点を考察することができたのは、今後の研究発展において、意義深いことであった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
データ収集、また分析(一部ではあるが)、さらには発表(学会)などで、順調に進んでいる。特に、データ収集については、収録したものをデジタル化し、項目、内容、場面ごとに整理が完了した。これには、時間を要する作業であったが、この整理されたデータは、今後の研究において貴重なものとなる。というのは時間の経過によって風化され、二度と再構築できないデータとなるからである。また、初期分析の結果を、日本文化の「わきまえ」という概念に応じて、海外学会にも発表できたことにより、順調に研究を進めることがきた。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに現地調査を続け、震災後、時間が経過していくなかで、どのように広報活動が変化、進展、発展していくのかを、面談などでさらに掘り下げて行きたい。特に、課題となるのは、現地の住民、読者、市民たちが、広報をどのように受け取り、何を望み、何を期待しているか、その評価と展望についての聞き取り調査を重点的に行って行く予定である。これと平行して、関連研究会参加、行政、地元新聞者とのインタビュー、さらにその整理、分析などをさらに進めて行く計画である。
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