2014 Fiscal Year Research-status Report
多言語環境にある外国人の日本語観と言語選択に関する研究-在日パキスタン人を中心に
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26370522
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Research Institution | National Institute for Japanese Language and Linguistics |
Principal Investigator |
福永 由佳 大学共同利用機関法人人間文化研究機構国立国語研究所, 日本語教育研究・情報センター, 研究員 (40311146)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 多言語使用 / 言語選択 / 社会文化的要因 / 移民 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度は本調査(量的調査)のための準備段階と位置づけ,次の①と②を実施した。
①研究の理論的枠組みの構築のために,言語使用と使用要因の関係性の解明を目指した諸研究の文献研究を行った。特に,Ethnolinguistic Vitality Theory(以下,EVT)に着目し,EVTにもとづく先行研究を検討した。検討の結果,言語行動と言語意識の繋がりについても一定の可能性を見出すことができた。また,EVTのBeliefsの枠組みの有効性が示唆された。しかし,EVTが着目するのはintergroupの関係性であること,さらにEVTが移住先の優勢言語と母語との2言語に限定していること,以上の2点は本研究との根本的な齟齬であると考えた。したがって,本研究の理論的枠組みとしてEVTをそのまま適応する適当ではないと判断した。文献研究の一部は論文として公表した。
②①にもとづき,平成26年(2014年)10月3日から10月18日にかけてパイロット調査(量的調査)をスノーボールサンプリング法により実施した。属性,使用言語・母語,言語能力,場面・状況別の使用言語,言語選択の要因,言語継承等の項目を設定し,プリコード回答法で設計した。関東地域と北陸地域で実施し,最終的な回答数は21名(回収率70.0%)であった。回答は集計し分析を行った。分析の一部は論文として公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
①パイロット調査対象をこれまで申請者が調査を実施していない地域を含めたため,パイロット調査の趣旨を理解し調査協力者を紹介する役割の仲介者の募集や調査実施場所・回数の調整等に当初想定した以上の時間が必要であった。
②パイロット調査結果の分析により,本調査の実施のためには,調査の設計について大幅な見直しが必要であると判断した。そのため,パイロット調査後の本年度後半は本調査設計のための検討に費やすことにし,本調査の実施は次年度に先送りした。
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Strategy for Future Research Activity |
パイロット調査の分析を踏まえて調査項目等を修正し,平成27年度(2015年度)前半に本調査(量的調査)を実施し,一次的分析を完了する。分析の結果は学会等における口頭発表や学術誌への論文として積極的に公表する。
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Causes of Carryover |
パイロット調査結果の分析により,調査の設計について大幅な見直しが必要であることが明らかになった。そのため,パイロット調査後の今年度後半は本調査設計のために費やすことにし,本調査の実施は次年度に先送りした。そのため本調査に関わる諸経費として今年年度に計上していた金額は次年度に繰り越しした。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度は今年度から先送りした本調査(量的調査)および当初計画の調査(半構造化インタビュー調査)を実施するため,調査にかかる諸経費は本年度未使用分を含め計画どおり使用する。
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