2015 Fiscal Year Research-status Report
電子テキスト化による刊本蘭日辞書の研究とその訳語の研究
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26370526
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Research Institution | Ibaraki University |
Principal Investigator |
櫻井 豪人 茨城大学, 人文学部, 教授 (60334009)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2019-03-31
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Keywords | 洋学資料 / 蘭学資料 / 辞書 / 翻訳語 / 『波留麻和解』 / 『訳鍵』 / 『増補改正訳鍵』 / 『和蘭字彙』 |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度も当初の計画通り『増補改正訳鍵』の電子テキスト化に取り組み、一通り完成させた。平成26年度と同様、一部を研究代表者が入力し、残りは学生アルバイトを雇用して入力させた。 全巻を入力し終えてもやはり、『増補改正訳鍵』の記述は『訳鍵』および『和蘭字彙』の記述の範囲を出るものではないように感じられ、独自にオランダ語や訳語を増補したとみられる箇所は見当たらなかった。対照表を作成しなければ正確なことは言えないが、上記の印象が正しいとすると、『英和対訳袖珍辞書』の編纂に『増補改正訳鍵』が用いられたか否かを判じるのは甚だ困難になるものと予想される。 一方、その作業と並行して、『和蘭字彙』の使用漢字についての分析も同時に進めた。その成果の一部を、論文「近世楷書体文献の電子テキスト化における漢字字体処理について―『和蘭字彙』を例に―」(『国語と国文学』93-5)にまとめ、『和蘭字彙』の電子テキスト化における漢字字体処理の基本方針を定めた。これにより、『波留麻和解』『訳鍵』『増補改正訳鍵』といった一連の蘭日辞書の漢字入力方針も定まったことになる。その入力方針とは概ね以下のようなものである。 1.Microsoft Wordの「あいまい検索」で相互にヒットする範囲内で、なるべく原本の漢字字体に近いJIS第1・第2水準の漢字を用い、JIS第1・第2水準内に異体字が無い字は第3水準以下の字を用いる。2.「譌字(訛字)」と「同形異字」という概念を導入し、漢字学における厳密な異体字判断基準によるのではなく、近世期の異体字意識を酌み取りつつ現代の楷書規範に沿った漢字字体で翻字する。3.誤字や通用字、現代一般の表記とは異なる表記がなされている語などについては、《 》内に現代一般の表記を併記する「別表記挿入」を行う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、『増補改正訳鍵』全5冊の電子テキスト化を終えたので、概ね順調に進展していると言える。全体の入力チェックはまだ途中であるが、入力方針が固まって来たので、次年度中には終了する予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
現在のところ、当初の研究計画通りに進める予定である。すなわち、3年目に『訳鍵』の電子テキスト化、4・5年目に『波留麻和解』の電子テキスト化を行う予定である。
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Causes of Carryover |
使用調整をしなかったため、端数としての次年度使用額2,078円が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度の予算に上乗せして有効に使用する。
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