2014 Fiscal Year Research-status Report
十八世紀青森下北方言を反映するタタリノフ『レキシコン』についての文献方言史的研究
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26370536
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Research Institution | Okayama University |
Principal Investigator |
江口 泰生 岡山大学, 社会文化科学研究科, 教授 (60203626)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | タタリノフ / 『レキシコン』 / ロシア資料 / 東北方言 / 村山七郎 / 『レクシコン』 / 音韻 / 方言語彙 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は『レキシコン』の内容を明らかにして、日本語史研究や方言研究に貢献することである。 まず、2014年10月、第317回日本近代語研究会(北海道大学文系共同講義棟(軍艦講堂2番教室)で「A.タタリノフ『レクシコン』の語彙と音韻現象」という題目で口頭発表した。2013年12月「ペトロワの『レキシコン』研究について(前)」(『岡山大学文学部紀要』60 p59~68)、2014年3月「ペトロワの『レキシコン』研究について(後)」(『岡山大学大学院社会文化科学研究科紀要』37 p1~11)で、『レクシコン』の研究史を明らかにした。 そのうえで、2014年12月の「A.タタリノフ『レクシコン』注釈1(А~Б)」(『岡山大学文学部紀要』62 39P~49P)や2015年3月の「A.タタリノフ『レクシコン』注釈2(В~Е)」(『岡大国文論稿』43 P14~P20)、2015年「A.タタリノフ『レクシコン』注釈3(ж~и)」(『岡山大学文学部紀要』63)で『レクシコン』の注釈作業の結果を活字化した。 さらに『レクシコン』によって日本語の歴史にどのように貢献できるかについて、具体的に「タタリノフ著『レクシコン』からみた18世紀下北佐井方言の四つ仮名」(『国語と国文学』2015年9月予定)で四つ仮名について公刊する予定である。 『レクシコン』がこれまで充分に活用されなかったのはその本文がよくわかっていなかったせいだと考えられる。本研究によって『レクシコン』が、日本語の歴史や東北方言の研究におおいに役立つことが明らかになってきたと思う。村山七郎『漂流民の言語』段階を超えて、新たな一面を切り開くことができると思う。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
1回の口頭発表をはじめ、先行研究(ロシア語文)の翻訳、『レクシコン』の注釈、『レクシコン』によって判明する日本語研究への貢献など、研究は順調に進んでいると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
注釈作業をさらに推し進める。またロシアの東洋学写本研究所との交流を深め、『レクシコン』の鮮明な画像データを入手したいと考えている。 最終段階においては、注釈作業の結果と画像をあわせて、『レクシコン』が誰にでも使えるようにしたいと考えている。それによって東北方言の歴史的研究、日本語の歴史研究に大きな貢献ができるのではないかと考えている。
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Causes of Carryover |
残金は19048円なので、大きな問題はなく、想定の範囲内である。1円単位まで合わせることをしなかったためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度では文献調査などを計画しているので、それに充当させる計画である。
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