2016 Fiscal Year Annual Research Report
Basic study on on-syaku in the Tozen-ji edition of the Song Canon.
Project/Area Number |
26370538
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Research Institution | Hiroshima University |
Principal Investigator |
佐々木 勇 広島大学, 教育学研究科, 教授 (50215711)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 宋版一切経 / 東禅寺版 / 附載音釈 / 音釈 / 中国語音 / 日本漢字音 / 宋音 |
Outline of Annual Research Achievements |
「宋版一切経東禅寺版附載音釈に関する基礎的研究」と題した本研究の目的は、北宋末~南宋初に印行された宋版一切経東禅寺版に附載の函別音釈の実態を明らかにし、その出典および日本の古文献への影響を解明することであった。 目的達成のため、東禅寺版宋版一切経の現存本のうち最もまとまった遺品である醍醐寺蔵本における附載音釈の音注を記述し、今後の宋版一切経附載音釈研究の基礎資料とすることとした。それとともに、東禅寺版附載音釈の出典およびその日本への影響について考察を加えた。 本研究の期間中に、醍醐寺蔵宋版一切経東禅寺版の目録を出版することができたのは、とりわけ大きな成果であった。 研究の結果、宋版一切経の付載音釈は、日本でもそのまま書写・印刷されることがあることがわかった。具体的には、鎌倉時代初期に鎌倉の大仏に奉納された『大般若経』、鎌倉後期に印刷された春日版五部大乗経、室町時代初期に書写された尊氏発願書写一切経、応永十九年に書写された北野社一切経などである。さらに、宋版一切経の音釈が、日本の古辞書・音義に直接の影響を与えていることもわかった。たとえば、高山寺蔵『新訳華厳経音義』鎌倉初期写本である。 また、醍醐寺以外に保存されている宋版一切経の音釈を中心とした調査をも進めることができた。加えて、これらの調査・研究の基礎資料である宋版一切経東禅寺版附載音釈をデータベース化する入力作業を進めることができた。
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Research Products
(10 results)