2017 Fiscal Year Annual Research Report
Modes of cognition, linguistic typology, and evolution of languate
Project/Area Number |
26370560
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Research Institution | Osaka Gakuin University |
Principal Investigator |
中村 芳久 大阪学院大学, 外国語学部, 教授 (10135890)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 認知モード / 言語類型 / 言語進化 |
Outline of Annual Research Achievements |
2種類の認知モード(IモードとDモード)を提案し、これに基づいく認知的言語類型論と言語進化論の仮説を提示できるが、本研究では、新たな展開として、まず(1)認知モードを認知科学的に位置づけ、その実践的効果として認知モードが現在紛糾している主観性の議論を一定の収束に導くことを示すことができた。 次に(2)言語をどの程度Iモード寄りかで類型化する仮説を、複数の言語で検証し、実証性を上げることが可能となった。 最後は(3)言語進化の議論で、言語(特に文法)の決定的な特性とされる再帰(recursion、あるいは再帰的併合recursive merge)が、認知文法理論の自律・依存要素配置(A/D alignment)とモノ化の認知プロセス(reification)によって捉えられるとしたが、総合的にみるとやはりIモード認知からDモード認知が展開したことが、再帰性を含め人間言語を創発させるという論点に妥当性が見出された。 極小主義プログラムなどでは、結合という概念が重視されるが、結合が成立するためには、結合する要素が不可欠である。この結合のために不可欠な要素がどう生じるのかという問題がこれまでの研究では等閑に付されている。Dモード認知は、主客未分の状態から主と客を切り出すのと同様に、同様に音声や概念などの塊(全体として未分状態の塊)から、各要素を切り出す。それらの要素が自律・依存要素配置によってより上位の構造を形成するのだが、IモードからDモードへの認知的展開は言語進化や言語累計についてより根本的な視点を提供していることになる。
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Research Products
(10 results)