2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Diachronic Study of Object Movement and Left Periphery in English
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26370561
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
田中 智之 名古屋大学, 文学研究科, 教授 (20241739)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 目的語移動 / 左周縁部 / 肯定目的語 / 数量目的語 / 機能範疇 / 基底語順 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度までの研究成果に基づき、英語史における目的語移動の消失について、vP領域の左周縁部における機能範疇の消失と関連付けて説明することを試みた。第一に、肯定目的語が副詞に先行する語順、すなわち肯定目的語の左方移動は14世紀に消失したが、これは「目的語・動詞」基底語順の消失の帰結として説明される。代名詞目的語や不変化詞などの軽い要素には右方移動が適用されないため、それらが動詞に後続する構造は「動詞・目的語」基底語順を持つことになるが、そのような構造において肯定目的語が動詞に先行する例が見られないため、肯定目的語は「動詞・目的語」基底語順において左方移動することができないと言える。したがって、14世紀に「目的語・動詞」基底語順が消失し、「動詞・目的語」基底語順に一本化されたことにより、肯定目的語の左方移動が消失した。さらに、肯定目的語のTopP指定部への移動の消失により、Topの肯定証拠が失われたため、vP領域の左周縁部においてTopが消失したと主張した。 第二に、数量目的語が副詞に先行する語順も14世紀に消失したが、「動詞・目的語」基底語順に一本化された後も、16世紀までは数量目的語が動詞に先行する語順が存続していた。これは数量目的語が「動詞・目的語」基底語順において左方移動することができるからであるが、数量目的語の左方移動が16世紀に消失したという事実を、vP領域の左周縁部におけるFocの消失と関連付けて説明した。すなわち、16世紀にFocの肯定証拠となる、数量詞の副詞的用法、および他動詞虚辞構文が衰退し、Focが消失した結果、数量目的語の移動先がなくなり、数量目的語の左方移動が消失したのである。
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Research Products
(4 results)