2016 Fiscal Year Research-status Report
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26370563
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
宮本 陽一 大阪大学, 言語文化研究科(言語文化専攻), 准教授 (50301271)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | 数量詞 / 付加詞 / クレフト構文 / 項削除 / AGREE |
Outline of Annual Research Achievements |
昨年度、日本人ならびにドイツ人の子供からのデータ収集を終え、Oseki and Miyamoto (2015)に基づき、主語の振る舞いについて分析を行った。本年度は、John Benjaminsから出版される論文集に当該研究成果を発表するため、論文執筆ならびにその推敲を行った。平成29年度中に出版予定である。
また、付加詞条件については、内項を持つ他動詞文における引用句の振る舞いについて分析を行った。この種の引用句に関しては、藤田 (2000)において数々のデータが提示されているが、生成文法理論(ミニマリストプログラム)の枠組みにおいては今だ詳細に分析されていない。本研究では、まずVPに関する構成素テストの結果から引用句がVP内に内項のように基底生成されることをみた。しかしながら、引用句を移動させた場合には単なる島の効果 (Subjacency) ではなく、強い非文性、つまり空範疇原理 (Empty Category Principle) 違反の効果を示すことから、内項のように生成されたとしても付加詞であることを明らかにした。このような引用句の性質を説明するために、さらに引用句を伴う項削除現象 (Funakoshi 2016) ができないこと並びにクレフト構文において引用句が焦点化できないことに注目した。本研究では、CP領域において引用句がAgree関係のもと認可されているため、このような振る舞いをすると結論付けた。この分析が正しければ、引用句からの要素の抜き出しが認可されたとしても驚きではない。この点についてはデータの揺れがあり、来年度、精査していく予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
付加詞条件について分析できるデータの範囲が広がった。このため、研究期間を1年間延長し、引用句に関して更なるデータ収集を行い、日本語の引用句並びに付加詞条件の効果について考察を深める予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
来年度は、内項を伴う他動詞文並びに自動詞文における引用句の振る舞い、特に引用句からの要素の抜き出しについて考察を深め、Oseki and Miyamoto (2015)で提唱した主語条件の分析との接点を見いだし、ラベル付け (Chomsky 2013, 2014) の枠組みにおいて摘出領域条件に関する理論構築を終える。
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Causes of Carryover |
本研究で扱うデータが増えたため、更なるデータ収集・分析を行った上で理論の精密化を図るため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
付加詞条件に関する関係図書購入ならびに研究成果発表のための旅費。
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