2016 Fiscal Year Research-status Report
コーパスを利用した初期中英語から初期近代英語のワードペアの通時的研究
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26370565
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Research Institution | Hyogo University of Teacher Education |
Principal Investigator |
谷 明信 兵庫教育大学, 学校教育研究科, 教授 (90236670)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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Keywords | word pairs / binomials / historical linguistics / Helsinki Corpus / genre / frequency / etymology / corpus |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の目的は英語の史的コーパスHelsinki Corpusを資料として、A and/or/nor B形式(例、time and tide, north or south)のword pairs(別名binomials)の調査を行うことである。H28年度の当初予定では、H26年度とH27年度の研究を統合して、初期中英語から初期近代英語の期間全体で、どの語源構成のword pairsが、どのジャンルでいつ、どのような頻度で使用されたのかという全体像を解明することであった。 しかしながら、H26年度、H27年度の調査の遅れのために、当初予定の研究を行うことができなかった。H26年度に後期中英語期、H27年度に初期中英語期の調査を行ったが、調査が残されていた初期近代英語のワードペアの調査を本年度は行った。また、エジンバラでの学会に参加し、初期中英語研究の情報を得た。また、インスブルック大学で中英語散文コーパスの最新バージョンを手入し、Markus教授と討議した。 本年度の研究により解明した事は以下である。初期近代英語はそれ以前の時代と異なり、英語の標準語化、また、大量の借用語により、文体特徴が変化した。また、inkhorn termsの出現により難語の問題が出現する時代でもあった。Sir Thomas Elyotは借用語を本来語で説明する語釈としてワードペア (例、“education or bringing up of children”)を利用した。このような言語状況の中でのワードペアの使用は、後期中英語と同様に、ワードペアの頻度は比較的高く、特に法文書での頻度が高いのは同じであった。ただ、後期中英語と比べて、修辞的装飾としてのワードペア使用はそれほど頻度が高くない。この事は、現代英語でのワードペア使用が中英語と比較して減少する傾向を示すものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
大学での本務、他の研究、ならびに体調不良により調査が遅れている。また、H26、27年度にも研究の遅れがあったが、この遅れが取戻せていない。そのため、本年度は当初予定ではH26ー27年度の研究を統合して研究全体をまとめる予定であったが、それが行えず、初期近代英語期のコーパスの分析に終わった。
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Strategy for Future Research Activity |
【現在までの進捗状況】に記述した遅れをとりもどすために、研究の1年間の延長を申し込み、承認された。このため、延長した一年間にこれまで3年間行ってきた初期中英語、後期中英語、初期近代英語の3つの大きな時代区分のワードペアのデータベースを統合し、比較検討する事で各時代のワードペア使用の特徴をより一層明らかにし、同時に初期中英語期から初期近代英語期のワードペア使用の全体的傾向を明らかにすることにより、英語の語彙の変化の一断面を明らかにする。 次年度は、Helsinki Corpusのみならず、関連するテキストでのワードペア使用の調査を行い、論文化する。また、本研究全体のまとめにあたるものを口頭発表する予定で、H.29年11月に学会での発表も決定している。また、この口頭発表をもとに、本研究の全ての結果をまとめて、上記の論文以外に、最低一本の論文として発表する。 このようにして、これまでの遅れを取戻すための方策を取り、研究全体の完遂を目指す。
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Causes of Carryover |
【現在までの進捗状況】で説明した様々な要因で研究に遅れが生じた。そのために、予定していた研究ができおらず、その研究のために予定していた予算を利用できずにいるため。研究の進捗が当初予定より遅れているため、使用予定の物品が購入できず、研究に必要な出張も行えていないためである。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
当初予定の全体の研究計画を遂行するために、必要な物品、特に書籍を購入し、研究遂行のために口頭発表等を行うために学会出張をおこない、さらに研究論文作成のためのネイティブチェックのために人件費を利用する。これにより、研究の遅れのために遂行できていなかった調査をすすめ、当初の研究計画の全体の完遂をする。
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