2014 Fiscal Year Research-status Report
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26370567
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Research Institution | Wakayama University |
Principal Investigator |
西山 淳子 和歌山大学, 教育学部, 准教授 (90469130)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | アスペクト / 時の副詞句 / 情報構造 / 完了形 / 形式意味論 |
Outline of Annual Research Achievements |
英語の時の副詞句の出現状況と完了形の解釈には相関関係があり、完了形文の構造的多義性の根拠であるとされているが、本研究では、現代英語のコーパスを利用し、その相関関係を検証し、その結果を新たに情報構造から捉え直し、形式意味論・語用論で分析することを目標としている。 平成26年度(初年度)は実施計画に従い、時の副詞句の出現状況と状態の完了形の用法解釈に関してコーパス調査を行うと同時に、形式意味論・語用論における情報構造分析の基礎研究を行った。コーパスを利用し、状態の現在完了形文の用例について、i) 時の副詞句(for+時間)との共起の有無、ii) 共起する際の位置の違いに伴う完了形文の用法の違いを調べた。その結果、i)については、 時の副詞句の共起の有無に関わらず、状態事象の完了形文は継続用法と非継続用法のいずれの解釈も出現した。ii)については、for+ 時間句が節に先行する場合と節の最後に現れた場合を調べたが、いずれも継続用法と非継続用法の両方の解釈が見られた。つまり、時の副詞の有無や位置と継続・非継続用法の使い分けとの間の相関関係は傾向に過ぎないことが分かった。 さらに、時の副詞句が文頭に現れる状態の完了形文の解釈傾向の違いについては、継続・非継続用法の違いとしてではなく、情報構造の視点から、weak familiarity (Roberts 2003)の概念を利用し、文頭の時の副詞句をFrame-setting topic (Jacobs 2001他) として捉えると、統一的な説明が可能であることが分かった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初計画では、本年度から次年度にかけて、情報構造の理論研究とコーパス調査を並行して行う予定であったが、本年度は、研究の基盤となる形式意味論・語用論における情報構造理論の研究をより優先して行ったため、予定していたコーパスデータ研究の一部を、次年度に先送りにした。具体的には、for+時間の副詞句と完了形文の共起については調査したが、sinceで始まる節やその他の時の副詞句と完了形文の用法との関係についての調査と分析は次年度に行う予定である。
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Strategy for Future Research Activity |
引き続き、形式意味論・語用論における情報構造についての研究と状態の完了形文の解釈と時の副詞句・節との関係についてのコーパス収集と分析を行い、検証していく。
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Causes of Carryover |
初年度は、基礎理論の研究に重点を置いたため、必要となる基本文献や資料は所属機関やインターネットで入手可能なものが多く、書籍費は次年度に繰り越すことにした。またコーパスを購入予定であったが、インターネット上の無償のコーパスを利用した。学会発表も平成27年度以降に行うことにしたため、旅費についても次年度に繰り越した。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
書籍の購入、コンピュータの購入、学会や研究会の参加旅費として使用する予定である。
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