2014 Fiscal Year Research-status Report
ウェールズ英語とスコットランド英語における反方言化の進行とアイルランド語の影響
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26370574
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Research Institution | Senshu University |
Principal Investigator |
三浦 弘 専修大学, 文学部, 教授 (00239188)
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Project Period (FY) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 音声・音韻 / 英語方言 / 母音 / ウェールズ / スコットランド |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は8月から9月にかけてウェールズ南部3地域での英語方言収録を実施した。基本語彙リストの音読と4分程度の自由会話の録音が出来た。首都カーディフでは、カーディフバス会社退職者ローン・ボーリングクラブにて、高齢者男女4名ずつ8名の被験者の協力が得られた。ウェールズ南部渓谷地域のポンティプリーズでは、知人から紹介された高齢者宅を一軒ずつ回り、男女4名ずつ8名の被験者(最高齢者90歳)から収録出来た。カーディフから10 kmしか離れていないにもかかわらず、ロンザ炭田の方言がはっきりと残っていた。ウェールズの中でも最も早期から英語を使用している、南西部のペンブルックでは、ペンブルックドックの公立図書館とペンブルック発電所の従業員社交クラブにて、男女2名ずつ4名の被験者が見つかった。 上記収録音声の分析は、母音についてはほぼ終わり、平成27年度中に現在の母音分布状況、ウェールズ英語特有二重母音 /iu/の詳細な分析結果、TRAP-BATH母音分裂の地域差と個人差等について発表する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
収録に困難が予想されたウェールズ地方での録音が、ベッドフォードシャー大学ポール・カーリー講師のご協力で南部については順調に進み、母音の分析はほぼ終了している。また、英語について反感を抱いている北部や中部についても、今後協力してもらえそうな研究者のネットワークが広がった。 スコットランド低地地方(南部)で平成25年度以前に収録した音声についても、二重母音の詳細なフォルマント軌道変遷の分析とイントネーションの方言特徴に関する研究発表を平成26年度に行うことが出来た。
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Strategy for Future Research Activity |
ウェールズ南部英語については、平成26年度に収録した自由会話の音声を分析して、イントネーション特徴の分析とその表記方法の考案に関する研究を進めていく。オリジナルデータが入手出来ていない、ウェールズ北部・中部地方の英語、スコットランド高地地方の英語、アイルランド英語(及びアイルランド語)については、現地研究者との情報交換を進めて、被験者紹介等の協力を得ながら、現地での音声収録の実現をめざす。収録前には、綿密な文献研究により、効率の良いデータ収集が出来るような、課題に照準を合わせた語彙リストの作成にも心掛ける。
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Causes of Carryover |
次年度の直接経費交付予定額が補助事業期間の3年間の中で最も少なかったため、翌年度に繰り越した。現在の英語方言研究のためのオリジナルデータ(音声)収録のためには、旅費(渡航費)がかかり、被験者、及び協力者への謝金支出も必要であり、さらに、博士課程後期の大学院生(研究協力者)への音声分析アルバイト料としての謝金も確保する必要があった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
今年度同様、ほとんどの使用額が旅費と人件費・謝金となる予定である。謝金には、被験者への音声提供謝金、自由会話録音音声の文字起こし謝金(英語母語話者でもその方言に関する専門知識が必要)、大学院生への音声分析アルバイト謝金が含まれる。今年度のように現地コーディネーターへの謝金(移動のための車の提供を含む)が必要になるか否かは未定である。
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Research Products
(6 results)